「歳を取る」ことはいけないことか
広告
私は今年の8月で29歳になる。いわゆる「アラサー」だ。
自身の入社当時を知る先輩や上司は、いつまでも「23歳のまま」というイメージがあるらしい。嬉しいやら悲しいやら。
振り返れば周りにはたくさんの後輩がいる。
“こういった言葉にはこう対応する” “こういう場面ではこう対処する”―。
あらゆる場面での処世術と対処法は、社会に出て学ぶことが多い。
年齢を重ねるということは、蓄積されていく経験や知識がその人の「財産」になるし、年々、人間的にも魅力的になる素晴らしいことだと思う。
28歳になってから、あるモヤっとする事柄が起きた。女性の見た目や年齢に対しての「イジリ」「誹謗中傷」である。
特に、年齢に関して女性は敏感だと言われている。確かにそれは否めない。
自身も、地元で友達が経営しているバーに遊びに行った時、客である見ず知らずの20歳くらいの男性に「ババア」と言われショックを受けたことがある。
私は「目の前にいるこの人は、最近になって法律的に酒もたばこも自由に嗜める年齢になったわけだから、他人の心なんてひとつも考えられないほど、いまを最高に楽しんでいるんだろうな」と、見事に酒に呑まれてケラケラ笑うその男を見ながら、ははっとだけ笑い飛ばした。
表面上は笑っていたが、腹の底ではドス黒いものが煮えくり返っていた。
その場に同席していた親友も、同じような暴言をしつこく浴びせられ、誰もいない階段の踊り場でひとり、泣いていた。
さすがに、一回り以上も年が離れている相手に「おばさん」と言われたらぐうの音も出ないが、たいして年の変わらない相手に「おばさん」「ババア」と言われるのは正直、納得がいかない。それも、ただ30代に近づいてきたというだけで、だ。
何よりも、年齢に対してとやかく言われる対象のほとんどが“女性”なのにも「?」のマークが浮かぶ。
何歳からが「おじさん・おばさん」なのかは人それぞれだと思うが、「あぁ、理不尽だな」とやり場のない怒りを感じた。何だか歳を取ることが罪なのかとさえ思えてくる。
逆に、そういうイジリをする男性が、同性の先輩に対して「おっさん」「ジジイ」と言っている場面をあまり見た事がない。(少なくとも私の周りは)
何時ぞやのテレビ番組で「女性はいつから『おばさん』になるのか」というテーマで街角の女性たちにインタビューする企画があった。これもなぜか対象は女性だ。
う~ん、何かおかしい。
自虐的に「アラサーだー」「おばさんだー」と言うのはいいが、他人に言われるとムッとする。相手は冗談で言っているつもりだが、はっきり言ってどこが面白いのか理解出来ない。返ってその「無意識の悪意」にゾッとした。
こういった女性に対する年齢いじりや暴言を吐く人は、自分が歳を取ることに対して「何か得体の知れない恐怖」というものを感じているのだろうか。謎だ。
例え対象である人物が「冗談を言える相手・関係性」だとしても、言われた本人は心の底では傷ついているという可能性を考えないのだろうか。
「男は子供だから仕方がないよ」で片付けられる問題なのだろうか。
言いたい放題言う相手には“言わせておけばいい”のだろうか。
それはどこからどこまでが許されるのか。
そういう事を言いやすい、言われるような容姿や性格をしている女性が悪いのか。
私たちはどれだけ我慢すればいいのか。
決して「すべての男性がそうだ」と言っているのではなく、そういった事を考えなしに言い放つ人がいることに対して、怒りと悲しみを感じている。
このモヤモヤはいまだ解消されていない。(麗)
麗さんへ
歳をとることが悪いだなんて誰も思っていませんよ。そもそも麗さん自身が「おばさん」という言葉にネガティブなイメージを持っているから否定的に聞こえてくる訳です。人生の深みを極めていくのは歳を重ねていく事でしかなし得ません。知識や地位や学力が高くとも、年齢によって積み重ねる事が出来る経験や想い、それにより放たれるオーラや風格、人望などは、若い人には真似の出来ない事であり、真似したところで偽りに満ちた薄っぺらいものであり、周りもみな背伸びに気付いているものです。歳をとる事は素晴らしい事です。どうぞ自分の決めた道を邁進して下さい。応援してます!
Unknown
コメントありがとうございます。
書いているうちに段々と感情的になってしまったのですが、確かに私自身、「おばさん」という言葉がネガティブだと感じている部分もあります。
その言葉のすべてが「蔑称だ!」とも思いませんし、愛嬌を含んで呼ばれる場合もあると思います。
男性もそういう扱いを受けている人もいるかもしれませんが、年齢をとやかく言われることに対して、あまりピンと来ない部分もあると思うんです。
ただ、悪意にも似た態度や物言いで言ってくる人に対して怒りを感じるのと、なぜそういう行為を受ける対象のほとんどが女性なのか、そういう意識が根付いていることに対して悲しみを感じています。
私も、歳をとることは素晴らしいことだと思います。
周りの先輩や上司、また両親を見て、学ぶこと、感謝してもしきれないこともたくさんあります。
こういったことはこれから先、まだまだ待ち受けているとは思いますが、自信を持って立っていきたいと思います。
あたたかいお言葉、本当にありがとうございました!
麗さんへ
昨日、投稿したものです。いわゆる被害対象に、なぜ女性が多いのかという事を考えてみました。これは私の私見になりますが、一般社会に蔓延している「女性」というものにたいする認識、または概念ともいうべきものが存在しているからだと思います。簡単にいえば「女性は一定の年齢に達すると結婚、出産して子育てに専念し、夫を支え尽くす」みたいな。この概念から外れるもの~「一定の年齢に達しても結婚しない」「結婚していても子どもを産まない」「夫を支えずバリバリ働いている」などなど。多数派が作り上げてる社会通念から外れているように見えると、悪意をもって口撃したり否定的な物言いになるんだろうと思うのです。そもそも男性だろうが女性だろうが、様々なルーツや環境、生き方や思想信条が違うのは当然であり、それを白だ黒だと一括りに分ける事など出来ないでしょう。性別や出自に関係なく、多様な生き方を尊重しあう事を喜びとして感じられるような世の中になることを、私は願ってます。話がだいぶそれてしまってますが、月刊イオの「働く女性」にスポットをあてた企画はとても良かったように思います。月刊イオが「在日同胞をネットワークする」と謳うからには、様々な状況にいる人たちに光をあてるべきでしょう。「夫は商工人で青商会で活躍、妻は夫を献身的に支えるオモニ会役員、子どもは朝鮮学校に送る」みたいな、いわゆる「ザ・在日」のような人たちばかりに光をあててると、紙面に深みが無くなりマンネリ化してくると思うのです。これは私のアイデアなのですが、「こうしてイオは作られる」みたいな紙面で、麗さんたちが働いている編集部自身を密着取材してみるのも面白いとは思いませんか?私は素直に「カッコいいおばさん」もアリだと思ってます!
無題
(麗)さんと「名無し」さん
しばらく前に、ツイッターの社会・フェミ系クラスタで注目されたイラストです。
ttps://twitter.com/yugamico/status/529494102589468672
日本における男性視点の支離滅裂な「女性のジェンダーロール観」が見事に凝縮されていますね。