米・キューバ関係改善の動きに思う
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米国とキューバが関係正常化に向けた歩みを進めている。最近の国際ニュースの中でも個人的に大きな関心を持ってフォローしている。
1961年以来、半世紀以上も外交関係が断絶しているキューバと国交正常化に向けた交渉を始めると米オバマ大統領が発表したのが昨年12月。今月11日にはキューバのラウル・カストロ国家評議会議長とオバマ大統領が訪問先のパナマで邂逅、断交後初の両国首脳による会談が実現した。14日にはオバマ大統領が82年から続くキューバに対するテロ支援国家指定を解除することを承認し、議会に通告。テロ支援国家指定の解除は大統領承認から45日後以降に発効する仕組みになっている。テロ支援国家指定の解除はキューバ政府が米国側に強く求めていた項目だった。これで国交正常化に向けた大きな障害の一つが取り除かれたことになる。
オバマ大統領は「これまで失敗してきた時代遅れの手法を終わらせる」と述べ、封鎖と孤立によってキューバの「民主化」を目指すという従来の米国の対キューバ政策の失敗を認めた。国連総会の場でこれまで何度も対キューバ経済制裁解除を求める決議が圧倒的多数で可決されてきたように、米国の強硬路線は国際的にも支持を失って久しい。
米国が関係正常化へ舵を切った背景についてはさまざまな分析がある。政治、経済両面において関係改善が国益にかなうと判断したから、というのは言うまでもないことだが。
今後、大使館開設など正常化に向けた動きが加速する見込みだが、対キューバ制裁の解除など越えるべきハードルは多い。これで米国の敵国へ対する姿勢が軟化したと結論づけるのも早合点だろう。ともあれ、両国が対等な立場で対話を進め、関係正常化にいたることを願っている。
そして、当然ながら、次は朝鮮と米国との関係改善に期待を寄せたい。(相)