“記憶”と生きる
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まずは告知から。
『“記憶”と生きる』2015年/日本、215分(第1部124分+第2部91分)
監督・製作・編集:土井敏邦
日時:7月4日(土)~終了日未定
会場:UPLINK(JR渋谷駅徒歩約10分)
問合せ:UPLINK(Tel:03-6825-5503、Email:factory@uplink.co.jp)
※料金、時間などは問合せにて
●作品紹介(HPより)http://www.doi-toshikuni.net/j/kioku/index.html
元「慰安婦」たちが肩を寄せ合って暮らす韓国の「ナヌム(分かち合い)の家」。1994年12月から2年にわたって日本人ジャーナリストがハルモニ(おばあさん)たちの生活と声をカメラで記録した。元「慰安婦」という共通の体験以外、その境遇や歩んできた道はまったく異なるハルモニたち。支えあい、時には激しくぶつかり合う。そんな生活の中で彼女たちは消せない過去の記憶と、抑えられない感情を日本人の記録者にぶつけ、吐露する。あれから20年近く経った今、あのハルモニたちはもうこの世にいない。残されたのは、彼女たちの声と姿を記録した映像だった……
日本軍「慰安婦」被害者たちの姿と証言を記録したドキュメンタリー映画です。私は昨日、一足先に完成披露上映会に行きました。土井監督による同タイトルの書籍を先に読んで(イオ7月号の書評欄で紹介します)、タイミングよく上映会について知ることができたので予約したのです。
本編は第1部・第2部あわせて約3時間半。監督自身も上映後のトークショーで「長くて、眠くなった人もいると思います」と話していましたが、目の前に映し出されるハルモニたちの顔や一つひとつの仕草、過去を語る時の表情を見ていると、時間はあまり感じませんでした。ハルモニたちを記録した映像自体は百数十時間にも上るそうです。
監督はトークショーの最後に、「みなさんが、この映画を通じて『出会って』くださったら。こういう人がいるんだ、という出会いの仲立ちになればこの映画の意味があったと思う」と話していました。
映画を観ているあいだ、ずっと胸が締め付けられるようでした。映画が終わってもハルモニたちの声や表情が思い出され、また胸が痛みました。しかし「慰安婦」被害の記憶と、問題が解決されないもどかしさを死ぬまで背負い続けたハルモニたちの痛みはどれほどのものだったでしょうか。すべてはわかり得ない苦しみを、それでも想像し、忘れ去られぬよう伝えるために、痛みに身を寄せることが大切なのだと思いました。(理)