出張先での思いがけない出会い
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今、初出張で関西に来ています。
朝鮮関連の図書を多く置いている図書館を訪ねたり、民族教育に携わってきた1世のハラボジ、ハルモニに話しを伺ったり、またイオを毎月愛読してくださっている日本の方にもお会いできたり、本当にたくさんの方とお会いました。
私の父が大阪出身というのもあって、人との意外なつながりを発見することも少なくなく、おなじみの「同胞社会は狭いね~」という会話を何度かしましたが、中でも1つ、特別な出会いがありました。著者インタビューの企画で取材をさせていただいた、大阪市立大学教授の伊地知紀子さんです。
伊地知さんが今年5月に社会評論社から「消されたマッコリ。」を出版され、そのインタビューに伺ったのですが、それともうひとつ、伊地知さんが研究されている済州島の生活史についてもお話を聞いてみたいと考えていました。私の祖父が済州島出身で「4.3事件」も経験されていてとても興味があったからです。
私の本籍が済州島だと話すと、済州島の地図を広げて熱心に探してくれ、伊地知さんが済州島に住んでいたとき現地で撮った写真も見せてくれました。話しているうちに、伊地知さんが聞き取りを行った「4.3事件」経験者たちの中に私の祖父も含まれていることが分かり、本当にびっくりしました。私以上に伊地知さんが驚かれていましたが(笑)。
伊地知さんは「家族の方は絶対に読んだほうがいい」と言って記録のデータをくださいました。以前祖父から聞いたことのあるものもあれば、初めて知るものもありました。いくら想像してもしきれない、耳を疑うような内容です。何よりも、これまで簡略的に、大体のイメージでしか知らなかった当時の体験談が活字になっていることに感激でした。貴重な資料を残してくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。次に祖父に会ったときに、もっと話を聞いてみようと思うきっかけにもなりました。(S)