図書館へ行こう!
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11月号の特別企画は、「図書館へ行こう!」。
朝鮮関連の図書が充実している図書館を調べ、足を運んでいる。先日は都内の公共図書館に行き、地下の書庫にぎっしりと並べられた蔵書を見せていただいた。
朝鮮植民地期のもの、朝鮮が植民地から解かれ、まだ国が生まれていない頃のもの、年代ものの小説や専門書、絵本や歴史に名を残した人物の自伝を見ていると、図書館は「知の宝庫」! 時空を越えて歴史上の人物と出会えているかのような、そんな思いも押し寄せる。
今でこそ、公共図書館には朝鮮半島で出版される絵本や小説が並ぶようになったが、それは1990年代から日本に暮らす外国人が増えてきたからだと思う。
取材の過程で興味深いことを知った。都立中央図書館は約二万冊の朝鮮関連の蔵書を誇るが、収集の出発点は市民たちによる「都営アジア図書館設立構想」だという。都議会に請願が出されたことが機となり、1975年4月から、中国書の予算と人員の中から朝鮮語資料の収集が始まった。何もないところから、一冊、二冊と集め、分類を続けた職員たちの苦労あってこその蔵書なのだ。
特別企画では、公共図書館以外にも私設図書館、大学図書館も紹介する。在日自身の手で作られた朝鮮大学校図書館、朝鮮奨学会図書室、青丘文庫などもはずせない。ここでも、日本における朝鮮理解のために心血を注いだ多くの人たちの足跡にたどり着く。
在日朝鮮人に目を向け、日本と朝鮮、日本と東アジアに足をかける図書館。
一般市民に親しんでもらうために、読み聞かせをしたり、ホームページ上で朝鮮語本の検索ができる図書館も増えてきた。図書館のイメージが塗り替えられている。(瑛)