離散家族の悲しみに終止符を
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朝鮮半島の北南間の離散家族の再会が10月20~26日の日程で金剛山で行われた。離散家族の再会は昨年2月以来1年8ヵ月ぶり。
2004年から2007年の間に離散家族の再会の現場を3回ほど取材したことがある。60年以上もの間、互いの生死すらわからず離れ離れで暮らしてきた家族の再会の現場は「感動」や「涙」といった表現が陳腐に思えてくるほど、民族分断という圧倒的な現実を突きつけてきた。つかの間の再会の喜びは、離別の深い悲しみへ―。最後の面会を終えた家族がバスに乗り込むと、別れの場面は悲壮な空気に包まれる。これほどつらく、胸が張り裂けそうになる取材はない。北南分断の悲劇を最も象徴的に表しているのが離散家族なのだということを痛感した。
今回の再会では、朝鮮戦争の最中の1950年に生き別れた結婚6ヵ月の夫婦の話がニュースで取り上げられていた。当時20歳と18歳だった2人は85歳と83歳になっていた。
互いの接触は、メディアに公開される団体面会や非公開の個別面会を含め10数時間と厳しく制限されている。60年以上も離れていた人々にとってはあまりに短い時間だ。それでも、再会を果たすことができた人々は幸運なのかもしれない。離散家族の再会は2000年の南北首脳会談後に本格化したが、08年の保守政権誕生後は停滞し、直近の5年間ではわずか2回。高齢者の多くがこの世を去り、相手の消息確認すらできないままの家族も少なくない。
悲劇に一刻も早い終止符を―。朝鮮半島取材の現場から離れて3年以上が経つが、離散家族再会の報に接するたび、このような思いを強くする。(相)