広島無償化裁判第10回口頭弁論
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広島朝鮮高級学校生たちが無償化適用を訴えた、広島無償化裁判第10回口頭弁論が2月3日、広島地裁で開かれた。
今回は被告(国)側が準備書面7を提出。前回原告側が提出した準備書面9、10に対する反論が行われた。
前回、原告である広島朝鮮学園が提出した準備書面9では、大阪のとある日本私立学校で5億円の不正流用があった以降も就学支援金が支給され続けている一方で、朝鮮学園については運営を問題視し無償化の対象から外しているのは、被告側の明らかな差別だと指摘。国が大阪の私立学校への就学支援金を打ち切らない理由を被告側に求めていた。
これに対し国は、大阪府を通じ、同校で不正経理があっても就学支援金に関する不正はないとの回答を得たと主張した。
国は、広島朝鮮学園を無償化から除外する理由を、規程13条が定める「運営の適正」に適合すると認めるに至らなかったとしている。今回の私立学校での不正流用は明らかに「運営の不適切」に該当するものであり、「就学支援金に関する不正」は全く異なる論点といえる。
また被告は、文部科学大臣の判断が不合理ではないと主張し、その裏付けとして、大阪市立大学の伊地知紀子教授の鑑定意見書を引用した。この鑑定意見書は大阪府内にある朝鮮学校全10校の保護者を対象としたアンケートをもとに作成され、大阪補助金裁判で過去に原告が提出したものだ。朝鮮学校における民族教育の意義を主張している。
そもそも、広島朝鮮学園は伊地知教授の鑑定意見書は提出していない。それにも関わらず本書面では、アンケートに書かれた保護者らの多様な意見から、朝鮮学校は総連と距離を置いた方がいいなどといった被告側に有利な記述だけを大量に引用し、意図的に悪用した。さらに無償化除外による経済的変化はなかったなどの保護者個人の記述を取り上げ、無償化制度からの除外と家庭での経済的問題は無関係であると主張した。
今回、原告は裁判官に学校を直接訪れ事実を確認してほしいとの検証申出を行った。また、校長先生、生徒、保護者、支援者、一橋大学の田中宏名誉教授の尋問申請を行った。
閉廷後の報告会では、被告側の主張に対する矛盾点を指摘、今後の裁判の流れについて説明が行われた。いよいよ次の法廷で生徒などの生の証言を聞く機会が設けられる予定だ。
第11回口頭弁論は4月20日の午前11時から行われる。(S)