かごのなかの鳥
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もはや、この日本が牢獄にしか思えない。10日に発表された日本政府の対朝鮮独自制裁。その内容は、在日朝鮮人の再入国許可も出さないという、驚くべき内容で「在日朝鮮人の人質化」が一層進んだことに、この時代の闇の深さを感じた。
2007年から続く安倍政権の朝鮮制裁は、在日コリアンをジリジリと火にあぶるやり方で続けられてきたが、海外渡航すらも許さない悪態は、日本の外に出られなかった1970年代以前の状況を彷彿とさせる。制裁発表後、ある同胞の再入国許可の取消通知が出たし、今後も陰湿ないじめが続くだろう。
日本政府の制裁内容は以下。(首相官邸ホームページから)
…我が国は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するために何が最も有効な手段かという観点から真剣に検討してきた結果、以下の独自措置を実施することを決定した。
第一に、人的往来の規制措置を実施する。具体的には、以下の措置を実施する。
1.北朝鮮籍者の入国の原則禁止
2.在日北朝鮮当局職員及び当該職員が行う当局職員としての活動を補佐する立場にある者の北朝鮮を渡航先とした再入国の原則禁止(対象者を従来より拡大)
3.我が国から北朝鮮への渡航自粛要請
4.我が国国家公務員の北朝鮮渡航の原則見合わせ
5.北朝鮮籍船舶の乗員等の上陸の原則禁止
6.「対北朝鮮の貿易・金融措置に違反し刑の確定した外国人船員の上陸」及び「そのような刑の確定した在日外国人の北朝鮮を渡航先とした再入国」の原則禁止
7.在日外国人の核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とした再入国の禁止
第二に、北朝鮮を仕向地とする支払手段等の携帯輸出届出の下限金額を100万円超から10万円超に引き下げるとともに、人道目的かつ10万円以下の場合を除き、北朝鮮向けの支払を原則禁止する。
第三に、人道目的の船舶を含む全ての北朝鮮籍船舶の入港を禁止するとともに、北朝鮮に寄港した第三国籍船舶の入港を禁止する。
第四に、資産凍結の対象となる関連団体・個人を拡大する。
……
5日後の2月20日は、3年前、自民党政権が朝鮮高校を高校無償化から外すために(ハ)の規定を削除した日。高校無償化差別も「政治」を理由にした「立派な」制裁だ。
韓国への朝鮮籍者の入国が制限されていることと合わせ、植民地支配の歴史的経緯から日本に暮らすことになった私たちが、なぜこれほどの仕打ちを受けなくてはならなのか。歴史の歯車が戻っていく今、出口はあるのか―。私たちとともに、誰が声をあげてくれるのか。頭の中がうまく整理されない。とにかく、来月号に企画を組むことにした。
今後、「朝鮮籍」者以外の在日コリアンにも、日本政府の制裁はジリジリと影響を及ぼすだろう。個々人のリスクヘッジだけではなく、在日コリアンが生き続けるための方途を探したいと思う(瑛)。 以下は高林敏之さんのFBから。
…発表された措置の第1項目には「北朝鮮籍者の入国の原則禁止」とあり、第2項目には「在日北朝鮮当局職員及び当該職員が行う当局職員としての活動を補佐する立場にある者の北朝鮮を渡航先とした再入国の原則禁止(対象者を従来より拡大)」とある。また第6・7項目には一定の「在日外国人の北朝鮮を渡航先とした再入国の禁止」を定めている。
ここでは「北朝鮮籍者」に対しては「入国」、「在日外国人」に対しては「再入国」と、対応する用語が峻別されている。措置第5項等で「北朝鮮籍船舶」という語が使われていることと併せて判断すると、措置第1項にいう「北朝鮮籍」とは、日本の外国人登録における「朝鮮籍」の在日朝鮮人ではなく、《DPRKの国籍(船籍)を持ちDPRKないし日本国外から来航した人物(船)》のことを指すと見てよいだろう(「北朝鮮国籍」としないのは、日本がDPRKを国家承認していないがゆえ)。
よって、またぞろ国際スポーツ競技会のたびに、DPRK選手団の入国をめぐって悶着する場面がありそうだ。
逆に、「再入国」禁止対象に関して「在日外国人」の語を使っているのは、日本として正確に把握できない「在日のDPRK国籍所持者」に限定しない措置であるからだ。例えば、「対北朝鮮の貿易・金融措置に違反」してマツタケ取引などに従事し刑の確定した在日韓国籍者もDPRKを渡航先とした再入国禁止の対象となるということになるだろうし、核やロケット技術を専門とする在日外国人(コリアンとは限らない)の科学者は、おちおちDPRKに観光もできないということであろう。
今回の注目点は、対象者の拡大された「在日北朝鮮当局職員及び当該職員が行う当局職員としての活動を補佐する立場にある者の北朝鮮を渡航先とした再入国の原則禁止」であろう。
「在日北朝鮮当局職員」とはDPRK最高人民会議の代議員である朝鮮総聯議長や朝鮮大学校学長ら数名を指すとして、「当該職員が行う当局職員としての活動を補佐する立場にある者」というのは、実に曖昧である。
自民党の拉致問題対策本部による提言を受けて検討されていた、総聯の中央常任委員会委員・中央委員会委員をまとめて再入国禁止対象にすることは見送られた(ましてや朝鮮籍者全般に再入国禁止を適用するという乱暴な措置はさすがに採られなかった)。しかし、何をもって「当局職員としての活動を補佐する立場にある」と判断するかは日本政府側の勝手次第なので、なし崩しに対象者が拡大される恐れは拭えない。(毎日新聞:1月13日)http://mainichi.jp/articles/20160113/k00/00m/010/146000c
*とはいうものの、総聯が発行するDPRKパスポートを所持する在日朝鮮籍者が第1項目に該当する余地が全くないとも断定はできない。そういうあやふやさを残していることが、さらなる不安を与えることになる。
特集に賛成
在日同胞の国籍等の問題は非常に複雑で分かりにくいので、一年に一度は特集を組んで欲しいと思います。
難しい事って結構すぐ忘れてしまうので、毎年同じ内容でも良いので、しつこい位に解説し続けて頂きたいと思います。
青商会などで張り切っている人でも、案外パーフェクトに知っている人は少ないと思います。
未来の事ももちろん大事ですけど、まずは自分たち自身の歴史的経緯と、国籍も含めた法的地位をしっかりと把握し認識しておく必要があります。
植民地時代~解放後~講話条約~日韓協定と、詳しい解説が必要です。
また、朝聯から最終的に総聯と民団に分かれるまでの流れも把握しなければ、自分たちの現在地を見失います。
さらに、血統主義や出生地主義といった国籍の概念についても掘り下げる必要がありますし。
また、国民登録をしていない同胞は「透明人間韓国人」の状態ですし、そもそも「朝鮮籍」は透明人間にもなれない不安定な法的地位でありましょう。
朝鮮籍の同胞が海外旅行するのに共和国のパスポートとったら、その瞬間「北朝鮮人」扱いなのでしょうか。
悪意を持った解釈をされれば、イオ編集部員さえも再入国出来なくなる可能性があります。
私の意見ですが、全国の同胞法律専門家の力を結集し対策委員会を立ち上げる必要があります!
いま、現状において、また日本国内の現行法において何ができるのか、方向性を示さなければなりません。
総聯中央は組織守りが優先で腰が重いでしょうから、青商会が動くべきです。
同胞の経済活動にも悪影響を及ぼしかねないので、ここは早急に、青商会中央会長を委員長とする「共和国への制裁に対する同胞対策委員会」を設置しなければなりません。
青商会中央に期待したいと思います。