劇団態変、12年ぶりの東京公演→3月11、12、13日
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今日は演劇の告知を。
2015年から月刊イオで、連載「これは態変だ!」を執筆いただいている金満里さん。金さん率いる劇団態変の東京公演が3月11~13日に座・高円寺で行われる。実に12年ぶりの東京公演だ。
劇団態変は、重度の身体障害者たちが織り成す魂のパフォーマンスとして世界中から注目される演劇集団。私も、1月末に主宰の金満里さんの話を初めて聞いて、どんなものかと沸々と興味が沸いている。
今回上演する「ルンタ」では、チベット仏教にある「死者の書」という経典の世界を表現する。人が生きるために、絶対に避けては通れない生と死に迫るわけについて、金さんはこう話していた―。
…チベット仏教に「死者の書」という経典がある。チベット仏教では、この書に沿って死後の輪廻転生への入口である49日間を死者が迷わずに進んでいくための法要を行う。遺族ではなく、関係のない他人が、死臭と腐敗にまみれながら、死者と一緒に暮らすのだ。チベットの人々の暮らしぶりにすごく驚き、これはすごいヒントやな、と思った。生きている裏返しの「死」を直視して、何か考えていけないだろうかと思った。
ルンタは一言で文明批判。人間の価値が経済で決まり、経済で計られてしまう価値観そのものをどこかで変えていくことが、今本当に大急ぎで求められている。物質や資本がすべてなのか。それは、できないと思われているが、「できるんじゃないか」という答えを求めているのもたしか。
きっと、自然の中で生活するということは、新たな道のりになる。現代人は、生活スタイルを含めて、全部をもう一度考えなおし、作り直さなければ。
態変のパフォーマーたちが舞台でまとうのは、レオタード1枚。この演出については―。
…服はひとつのメタファー。本当にその服を着たくて着ているのか? 着せられているのか―。私は服を疑問視している。
多くの障害者は車椅子に乗ったり、介助者に助けられながら移動するが、地面に体をつけるしかないのが障害者。体こそが地面、寝たきりということが一番重要だ。だからそれを目立つように演出する。
そこで求められるのが、パフォーマーと、かれらの動きを支える黒子の信頼関係。全身黒ずくめの黒子は役者の最高の演技を舞台上に実現すべく、袖裏の交通整理から役者の登場退場の際の幕介錯などを支え、何より身体障害者の動きを損なわぬため、実に繊細な動きが求められる。「心配せーへんでも受けて立つから」という黒子の包容力とパフォーマーのプライド。これが、価値観を転倒させる共存の世界を作っている。
3月の舞台に向け、若い人たちが黒子に参加しており、エキストラには、重度の身体障害者も多くいる。このような実践にも、障害者たちの自由とは何か、という大きなテーマが潜んでいるように思える。
…障害者は車イスに乗らないと社会に出られないように、健常者的に社会に出ている人に限って、障害の外の部分がイヤで仕方なかったと話す。つまり、障害者の多くは、自分の障害そのものを、どう認めていいのか、どう自己認識していいのか、わからない。それは、この社会が障害をあってはならないものと扱っているからで、私は過去、優生思想を掲げたナチスによって、障害者が病院や施設から直接、ガス室に連れて行かれ、大量虐殺された歴史を思い起こしている。今はまさに、かつての時代に来ている実感が、態変という身体表現に私を向かわせている。
劇団態変のルンタ、東京ではなかなか見られません!
チケット購入については劇団態変、イオ編集部までお問合せを(瑛)。
●「ルンタ(風の馬)〜いい風よ吹け〜」東京公演●
◇作・演出・芸術監督:金滿里
◇日時:3月11日(金)19:00、12日(土)13:00/19:00、13日(日)13:00 ※12日13:00公演終了後、アフタートークあり
◇会場:座・高円寺1(JR高円寺駅から徒歩5分、東京都杉並区高円寺北2-1-2)チケット(前売・当日共に同価格、全席自由)
◇料金:一般 4,000円/学生 3,000円/シルバー3,500円
※障がい者手帳をお持ちの方は、座・高円寺チケットボックスでのご予約に限り1割引き。車椅子スペースをご利用の方は、前日までお申し込み必要です(定員あり)。
◇ご予約:劇団態変 TEL/FAX 06-6320-0344 座・高円寺チケットボックス TEL 03-3223-7300(10:00〜18:00)