独自の「制裁」がもたらす悪影響
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さる2月10日、日本政府の対朝鮮独自「制裁」の拡大・強化が発表された。今回の「独自制裁」は在日朝鮮人の往来の自由を従来より大幅に制約する酷い内容となっている。一連の措置の中では「在日北朝鮮当局職員及び当該職員が行う当局職員としての活動を補佐する立場にある者の北朝鮮を渡航先とした再入国の原則禁止」の対象を、「従来より拡大」という新たな一節が加えられたのが目を引く。これまで朝鮮を渡航先とした再入国禁止は、朝鮮民主主義人民共和国の国会にあたる最高人民会議の代議員資格を有する者と総聯中央の副議長などが対象とされてきた。2014年5月の朝・日ストックホルム合意によって、人的往来の制限措置は一時的に緩和されていたが、今回の制裁拡大・強化によって復活した。
そして、ストックホルム合意以前に再入国禁止対象とされていたこれらの人々以外にも今後、その範囲がどこまで拡大するのか予断を許さない。「在日北朝鮮当局職員及び当該職員が行う当局職員としての活動を補佐する立場にある者」のような曖昧な表現では当局のさじ加減ひとつでその対象者をどこまでも広げられるのではないか、という疑念はぬぐえない。
明日から1週間程度の日程で海外旅行を予定している。目的国のビザは先月に取得した。再入国許可は昨年末、マルチ(数次)で取得した。再入国許可の取得が「独自制裁」の発表以降にずれ込んでいれば、数次は難しかったかもしれない。
この間、お世話になった旅行会社のスタッフから先日、2月10日に日本政府の対朝鮮独自「制裁」の拡大・強化が発表された後、いわゆる「朝鮮籍」者(特別永住者証明書または在留カード上の「国籍・地域」欄が「朝鮮」となっている者)に対して各地の入国管理事務所や空港の入管ゲートで「嫌がらせ」ともいえる対応が相次いでいると聞いた。
いわずもがな、私も「朝鮮籍」だ。出国と再入国の際に何かあれば、後日、当ブログで報告したい。もちろん、何も起こらないに越したことはないのだが。(相)