災害と流言飛語
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14日夜から熊本・大分を中心に続いている地震による被害が拡大している。最大震度7を記録した一連の地震による死者は現在まで42人、避難者の数は20万人以上となっている。建物や道路・鉄道などインフラの被害も大きく、現地では物資が足りないと伝えられている。また、依然として行方不明者もおり、犠牲者数はさらに増える可能性があるとのことだ。
天災は恐ろしい。テレビ画面に映る被災地のようすに言葉を失った。
一方で、地震発生直後からネット上には「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」などという流言飛語が飛び交った。1923年9月の関東大震災時の流言飛語をなぞるような悪質なデマに怒りがこみ上げるとともに恐怖も感じた。
自然災害時に便乗したデマは毎度のことで、ネット上では「ネタ」「冗談にすぎない」と擁護(あるいはスルー)する声もあるが、これが冗談で済まされていいわけはない。書き込む当人たちやその発言をただ消費するだけの人々にとってはたわいもない「ネタ」でも、実際にデマを流しているのがごく一部の人であっても、名指しされている集団にとっては暴力なのだ。関東大震災では、上のような根拠のない噂が引き金となって在日朝鮮人や中国人など数千人が虐殺されたという歴史を忘れてはいけない。93年前の出来事だ。(相)