3月に結審決まる/広島無償化裁判第14回口頭弁論
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広島無償化裁判第14回口頭弁論が11月16日、広島地裁で行われた。
法廷ではまず、原告の1人である広島朝鮮初中高級学校の教員が意見陳述を行った。陳述では、祖国で暮らしたことのない在日4世の自分が、ルーツを知り、朝鮮人であることに誇りを持つことができたのは朝鮮学校があったからだと話し、在日朝鮮人にとって朝鮮学校がいかに重要かということを話した。また、街頭活動中に罵声を浴びせられ泣き出す生徒もおり、身近に差別があることを実感したこと、一方では、朝鮮学校が日本と朝鮮の架け橋になれることなど、高校時代の経験も語った。最後に、「子どもたちの頑張る姿を見てほしい」と裁判官に学校訪問を求め、公正な判決をするよう訴えた。
裁判では、原告側(朝鮮学園)が第14準備書面を提出し、大きく2点を主張した。
①被告(国)はこれまで、広島朝鮮高校に対する不当な支配が疑われる根拠として産経新聞に書かれた内容をあげている。原告は、「本当に補助金の流用という重大な疑惑があるのであれば、産経新聞だけでなく他の多くのメディアもこれを大きく取り上げたであろうし、場合によっては捜査機関による捜査も開始されたはずであるが、そうした事態は起きなかった」などと説明しながら、被告が主張する「事実」はいずれも真実と認定できない単なる疑惑であるにもかかわらず、これを無償化除外に至る経緯として位置づけていることは不当だと主張した。
②また、被告が朝鮮学校と朝鮮民主主義人民共和国や朝鮮総聯のつながりを「不当な支配」としていることについて、「日本国内の外国人学校であれ、日本国外の日本人学校であれ、現地の私的団体である外国人団体と一体となって運営され、人事、財政、教育内容等に関する支援を受けることは、自然かつ普遍的な現象」だとし、他の外国人学校でも普遍的に認められる本国や民族団体からの支援を理由に、広島朝鮮高校を規程13条(学校運営の適正)違反と認定することは明白に違法だと主張した。
被告からは第11準備書面が提出されたが、原告が公開を求めていた文書に対し、「指定された文書がない」との回答に留まった。
原告は今回、教育法学の立場から国の不当性を指摘している、獨協大学の成嶋隆教授の意見書を提出。次回はこの意見書を踏まえた主張を行う予定だ。また、来年3月に結審が行われることが決まった。
今後、以下の流れで裁判が行われる。
第15回口頭弁論/12月14日(水)16:00~ 広島地裁
第16回口頭弁論/2017年2月8日(水)13:30~ 広島地裁
第17回口頭弁論・結審/2017年3月8日(水)13:30~ 広島地裁
広島では11月13日から1週間、オモニ会、朝高生、教員、日本人支援者たちが広島駅前に集まり、街頭活動を行った。
高校生たちは街頭で、「ビラに目を通すだけでも、どうかお願いします!」と一人ひとりに声をかけながら、ビラを配っていた。
「在日でしょ?」と吐き捨てて通り過ぎる人や、「私は知らないから、いらない」と言った人もいた。
一方で、立ち止まって話を聞いてくれる人の姿も。日本の学校に通う学生は、ビラを1枚だけでなく何枚も受け取り、朝高生と一緒にビラを配ったという。
今回の裁判には、配られたビラを見てこの問題を知り傍聴に訪れた日本の方がいた。
今後も地道に問題を伝えながら裁判を闘っていこうと、現場では気持ちを新たにしている。(S)