モンダンヨンピルと映画「ウルボ」~故郷からの応援
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韓国で大統領が失職したのち、3月10日に憲法裁判所が朴大統領に弾劾の審判を下した。ライブ中継で結果を知ったときの思いは「これで故郷に行けるかも知れない!」だった。李明博、続く朴槿恵大統領時代、朝鮮籍同胞は故郷訪問の道を徹底的にふさがれてきたからだ。
数えてみると、取材でソウルを訪れて早や14年半の月日がたっている。入国できなければどうするか。ネットや書物、そして、たまに来日する韓国の友人を話をを通じて「故郷の空気」を感じとるしかない。韓国映画もたまに見る。仕事で韓国の政治や文化も扱うが、自分の目で見て肌で感じることができないのは、致命的だと思いながら…。
昨年12月、茨城朝鮮初中高級学校に取材に行った時に素敵な雑誌をいただいた。
《몽당연필로 쓴 하나(モンダンヨンピルで書いたハナ)》。全96ページ。2011年の東日本大震災で被害を受けた朝鮮学校と同胞社会を支援しようと、韓国の市民たちが立ちあげた「モンダンヨンピル」が作ったものだ。6年の間、東京、大阪、広島などで大好評を博したコンサートや、朝鮮学校の子どもを通わせる保護者や教員たちの声を紹介している。
16年度のイオの連載「虹色の教室」では、ウリハッキョにおける特別支援教育を扱ったが、この連載のひとつが朝鮮語に翻訳され、紹介されていたこともうれしかった。他にも、朝鮮学校を知るうえで前提となる在日朝鮮人の歴史や最近の結婚式の様子、韓国で生活する在日コリアンが抱える課題に触れている。レイアウトも読みやすくキャッチーな見出しがあふれる。
モンダンヨンピルのホームページでは、イオで連載中の「朝鮮学校百物語」が朝鮮語に翻訳され、「우리학교이야기」のタイトルで掲載されている。
http://m.cafe.daum.net/mongdanglove/UA2F?boardType=
韓国では金明俊監督が作った「ウリハッキョ」が朝鮮学校を描いた初の映画となったが、まだまだ朝鮮学校への偏見は強く、モンダンヨンピルの活動の悩みもここにあるようだ。市民社会で朝鮮学校への理解を広げようと、雑誌を発行する運びになり、今年の末には第2号が発刊されるという。
そして、4月1日からは朝鮮高校ボクシング部を描いた「ウルボ 泣き虫ボクシング部」が東京・渋谷のユーロスペーースで上映される。
監督のイ・イルハさんは韓国出身の方。「ウリハッキョ」「60万回のトライ」に続く韓国の監督が描く朝鮮学校とは―。春の良き日にぜひご覧ください。(瑛)