金福童さんと、文科省を訪れた韓国の農民たち
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日本軍性奴隷制問題の解決を目指した一般社団法人「希望のたね基金」(キボタネ)が6月9日に設立されhttps://www.kibotane.org/about-us、東京・永田町の衆議院第2議員会館で記者会見が行われました。
2015年12月の「日韓合意」については、「被害者の気持ちを無視した」「歴史を売り渡した」と非難が続いています。そんななか、韓国では2016年6月9日に、383団体、335人が「正義記憶財団」が設立され、教育や被害者への福祉事業が取り組まれています。
キボタネは同財団の主旨に賛同した日本市民が立ち上げ、今後、日本の若者が「慰安婦」問題について学び、性暴力のない平和な社会づくりに役立てるための活動に取り組んでいくそうです。具体的には、①啓発事業(大学、市民団体の講座、ゼミ合宿支援など)、②韓国の学生と交流するスタディーツアー、③留学支援、④若者による「慰安婦」問題に関する企画支援―などを予定しています。
キボタネのメンバーは日本軍性奴隷制問題や現代の性暴力に取り組む日本の大学教員、弁護士、作家たちで、9日の記者会見には、代表理事の梁澄子さん、理事の北原みのり(作家)、岡本有佳(編集者)、太田啓子(弁護士)さん、顧問の川田文子(ノンフィクション作家)、角田由紀子(弁護士)さんらが参席しました。
太田啓子弁護士は、「『慰安婦』に向けられる中傷の背景には、現代の性暴力と同じメンタリティがある。性暴力の本質には権力関係や暴力性が詰まっている。若者が知ることができる環境を作りたい」と思いを語っていました。
韓国に在住する性奴隷被害者の金福童さん(92)が委託した金福童奨学金の運営もキボタネの活動のひとつ。このニュースには、心が揺さぶられました。
2012年から、たびたび朝鮮学校を訪問されてきた金福童さん。異国で民族の文化や言葉を学ぶ児童や生徒たちの姿に感動する一方、朝鮮高校生が高校無償化から排除されていることを胸を痛め、支援を名乗り出たといいます。今年度は1人、来年度からは5人の朝高生に奨学金が支給される予定です。金さん、本当にコマプスムニダ!
記者会見の取材を通じて知ったのが「マリモンド」という韓国の市民団体です。http://en.marymond.com/
韓国の若い世代のなかで生まれた支援団体で、スマホのカバーなどをデザインし、日本軍性奴隷被害者たちの存在を知らせ、かれらを支援しています。ホームページを見ると、被害者のハルモニたちをステキなお花とともに紹介していて、見ているだけでも、穏やかな気持ちになります。
※写真はマリモンドのスマホカバーを紹介する、作家の北原みのりさん(中央)
話題は変わり、韓国のソウル、釜山、済州道などに暮らす農民や、市民団体「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」の皆さんが日本を訪れ、6月29日には千葉朝鮮初中級学校の生徒、教員たちと交流、30日には文部科学省の担当者に会い、約1時間かけて朝鮮高校への高校無償化の適用を訴えました。16時からの金曜行動にも合流し、楽しいパフォーマンスを交えながら、東京朝高生や朝鮮大学校生を激励してくれました。
文科省役人を前に、チョン・ヨンイさんは、「私たちは日本で見聞きした朝鮮学校が置かれた不平等な現実を韓国に行き、そのまま伝えます。知らないふりなどしていられません。一人が10人、10人が100人に伝えていくでしょう。日本政府は、間違った政策を一日も早く正してほしい」とまっすぐな目で訴えていました。
「韓半島は世界で唯一、国が分断されている。祖国が統一されていないなかで、朝鮮学校への差別も残っている。一日も早く統一を遂げなければ」という、チェサンウンさんの言葉に強く共感しました。
そして、キボタネや農民たちを取材しながら、故郷でも支援の輪が広がっていることを実感し、力を得た気がします。(瑛)