無償化勝訴判決に続け~大阪補助金裁判も控訴審
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日本全国5ヵ所で係争中の朝鮮高級学校無償化訴訟で7月28日、大阪地方裁判所が原告・学校法人大阪朝鮮学園側の全面勝訴の判決を下したことは本ブログで何度もお伝えしている。同じく、大阪朝鮮学園が原告となって、大阪府、市内の朝鮮学校に対する補助金を不支給とした処分の取り消しと交付の義務づけを求めた裁判(以下、大阪補助金裁判)でも、さる8月7日、控訴審が大阪高等裁判所で開かれた。
今年1月26日、大阪地裁は原告・大阪朝鮮学園側の全面敗訴の判決を下した。これを受けて、原告側は翌2月7日に控訴している。
裁判期日があれば、記者が傍聴取材したうえで数日中に本ブログで概要を報告するのがならわしとなってたが、今回は裁判を傍聴できず、また、夏季休暇を挟んだなどの事情もあり、期日から2週間以上が経過してしまった。先日発行されたイオ9月号には、支援団体である無償化連絡会・大阪からの情報提供を受けて控訴審の記事が掲載されている。先の無償化裁判の勝訴判決によって朝鮮学校関連の訴訟の行方にあらためて大きな注目が集まっているという現状にも鑑みて、遅くなってしまったが本エントリでも以下、報告したい。
この日の控訴審では、原告から控訴状と控訴理由書が提出され、原啓一郎、李承現、木下裕一の各弁護士が理由書の要旨陳述を行った。原弁護士は、地裁判決において裁判所が本件要綱の改訂内容を適法とした3つの根拠がすべて誤っていると論拠を示して指摘した。李弁護士は、本件要綱の改訂(要件の付加)が裁量の逸脱・濫用であることを提示した。木下弁護士は、自らの補助金が府の補助金を補完したものに過ぎないとした市の主張の矛盾を指摘し、市の対応が行政手続法にも著しく違反するものであると指摘した。
続いて原告・大阪朝鮮学園の玄英昭理事長が控訴人代表意見陳述を行った。玄理事長は、7月28日に下された無償化裁判の全面勝訴判決について、「戦後、私たちが歩んできた歴史をまっすぐに見つめ、一貫して民族教育を行ってきた朝鮮学校の意義を認めた」ものだと評価した。翻って1月の本件地裁判決について、「4年4ヶ月、20回にわたる裁判で、裁判官はいったい何を見ていたのか」と非難し、司法は行政による不当な措置を追認せず、その行き過ぎを諌め、こどもの権利や学習権を守らなければならないと訴えた。そして、控訴審において公正で平等な判断を強く願うとのべ、陳述を締めくくった。
その後、裁判官と原告、被告双方により今後の進行に関する協議が行われた。まず、原告が先の無償化裁判判決文において朝鮮学校への補助金支給に関連する部分の記述内容を分析し、主張を補充するとし、専門家による「私立学校振興助成法」に関する意見書を提出するとした。そして再度、裁判官が直接朝鮮学校を訪ね、子どもたちの学ぶ姿を見て判断してほしいと訴えた。
裁判後、大阪弁護士会館で報告集会が開かれた。丹羽雅雄弁護団長は、先の無償化裁判で勝ち取った全面勝訴判決の歴史的意義と各地の訴訟に及ぼす影響について語り、補助金裁判でも勝訴判決を勝ち取ろうと呼びかけた。
控訴審の第2回期日は12月6日の午前11時からと定められた。(相)