オモニたちの声
広告
先週の金曜日、「朝鮮高校の『無償化』適用と補助金給付再開を求めるオモニたちのアクション」が行われ、10校の朝鮮高校からオモニ会会長と役員たちが参加しました。関東地域に暮らす同胞女性たちも駆けつけ、約75人が集まりました。明日は東京無償化裁判の判決が下される日。これに先立って持たれた集会です。
場所は参議院議員会館の会議室。はじめに在日本朝鮮人人権協会の金東鶴副会長が、無償化裁判の経緯と争点について解説しました。金副会長が強調していたのは以下の内容。
「無償化」裁判の重要なポイント
―事実:
政治・外交上の理由で省令ハを削除し、朝鮮学校を不指定にした
―国側の言い分:
審査の結果、不指定を決定し、省令ハはもはや不要となるので削除した
このように、事実と国側の言い分とでは前後が逆転しています。ちなみに、事実を裏付ける書類も証拠として提出されており、国側の発言の矛盾を明らかにしています。まったくの詭弁であるにも関わらず、広島では原告の主張が通りませんでした。
金副会長は最後に、東京無償化裁判の判決を目前に控えた国が弁論の再開を要求したことに言及しながら、「国は相当焦っている。9月13日に判決を迎えるのは具合が悪い、ピンチだと。これまでの経緯を見れば私たちが勝てる」と力を込めて話しました。
次に、連帯のあいさつとして、「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」の森本孝子さんと「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の長谷川和夫さんが発言しました。
森本さんは、「この裁判は絶対に勝てる。勝っても控訴があるだろうが、最後まで決してあきらめずに一緒にたたかい続けましょう!」とオモニたちに激励を送りました。
また、長谷川さんは「この情勢下でも一生懸命学んでいる子どもたち、そして苦労の多い朝鮮学校の先生たちと保護者たちを励ましたいとの思いで全国行脚を始めた」としながら、自身の活動を紹介し、改めて応援のメッセージを送りました。
続いて、文科省の担当職員に対する答弁が行われ、実行委員会が事前に提出していた質問状に、3人の職員が答えました。
●朝鮮学校の子どもたちを視野の片隅にも入れなかった広島地裁判決と、朝鮮高校を高校無償化の対象から除外したのは、平等に教育を受ける権利の侵害で違法、無効だとした大阪地裁の判決を文科省はどう受け止めたのか。
この質問に対して職員は、「係争中の案件なので裁判以外で意見を申すことはできない」の一言。
●去年の3.29文科省通知「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について」が朝鮮学校にどのような被害をもたらしたか認識しているのか、お聞きしたい。当時の文科大臣は「減額しろとか、なくしてしまえとか、そういうことを言うのではありません」と次の日釈明したが、地方自治体で政府の意向を忖度して補助金の支給を停止したところが増えている。この現実に文科省としてどう思い、どう指導しようとするのか。
また、この質問には「通知の趣旨は減額を求めるものではない。個別の自治体に具体的な指導ということは考えていないが、趣旨については今後も説明していきたい」と、表面をなぞるような返答しかしませんでした。
質問の内容を全く無視しているばかりか、誠意のない態度に腹が立ちました。
続いて、10校のオモニ会代表たちが1人ずつ発言しました。
広島朝鮮初中高級学校 朴陽子会長
「広島朝高生たちは、卒業式の日に新たな門出に胸を膨らませるのではなく、高校無償化のたたかいを後輩たちにまた譲らなければならなくなったと胸を痛めて卒業します。今年の7月19日、中級部の学生たちは楽しみにしていたキャンプの予定を一日繰り上げて帰って来ました。なぜだか分かりますか? その日は広島で無償化裁判の判決があった日なんです。生徒たちは、謳歌したい青春も我慢して高校無償化のたたかいを続けています。7月19日の判決は、人種差別によるヘイト判決でした。判決文を何度読んでも、文章の意味も理解できないし、私たち原告を完全に無視した内容でした」…
大阪朝鮮高級学校 高吉美会長
「無償化除外、これは制度上の話だけではありません。これによって私たちの実生活の中で色んな差別が起こっています。朝鮮学校のガラスが破られているとか、通学時、子どもたちが心無い人たちから暴言を浴びせられたり。この子たちを必死になって守っているのは私たちなんです。国はいつも弱い立場の人間のために行動してくれる、本当はそうでなければいけないのではないですか。そういうことに対してもっと考えてください。ただ制度がこうだからという言葉はいらないんです。なんで全国からこうしてオモニたちが来て必死に訴えているのか、しっかり考えてください」…
神奈川朝鮮中高級学校 金星樹会長
「私は、朝鮮学校に通う子どもたちが頑張る姿を、いつも感動を持って見ています。しかし、このような純粋な子どもたちが国レベルで差別されていると思うと、いつも怒りがセットになります。子どもの頑張る姿を、怒りではなく素直に喜びたいです。差別のない社会で、100%晴れた姿で子どもの成長を見守りたいです。無償化除外、また県による補助金停止は、在日朝鮮人に対する差別意識を助長するものでもあります。いま、日常の中で差別される場面が少なくありません。私たち母親は、子どもたちを傷つけることを絶対に許しません」…
オモニたちはみな、涙を流しながら必死に訴えていました。声は毅然としていましたが、マイクを持つ手が震えているのを見た時、とても胸が苦しくなりました。
集会が終わると、場所を移してオモニたちは文科省前での金曜行動に合流しました。朝鮮大学生たちと声を合わせ、無償化適用、差別反対を叫びました。
明日、13日はついに東京無償化裁判の判決が出る日。関東だけでなく、明日も日本各地から多くの保護者、支援者たちが応援に来る予定です。東京の司法はどのような判決を下すのか、ぜひ多くの人が参加し、その場で見届けて欲しいです。
時間、場所など詳細はこちらより⇒http://mushokashien.blog.fc2.com/blog-entry-85.html(理)