朝高生の学校も祖国もなくならない
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2ヶ月以上前のことだが、息子が朝鮮民主主義人民共和国を訪問してきた。朝鮮学校高級部の修学旅行で朝鮮に行ってきたのだ。ずいぶん前から訪問を楽しみにしていた。訪問期間、平壌を中心にいろんなところを見学しいろんなことを学んだようである。
いろいろと話を聞いて見ると、案内についた人たちをはじめ朝鮮の人々とたくさん対話できたことを喜んでいるようだった。目をつぶると、そこに住む人たちの顔が浮かぶ。これから朝鮮で自然災害が起これば、息子はその人たちのことを思い出して心を痛めるかもしれない。朝鮮半島情勢をそこに住む人々と結びつけて考えるようになるかもしれない。それは非常に大事なことだと思っている。
息子は朝鮮民主主義人民共和国のことを「祖国」だと認識している。そう認識したのは、朝鮮学校に通ったからに他ならない。
いま出ている月刊イオの10月号は、民族教育権について特集を組んだ。そのなかで、無償化裁判を闘っている「朝鮮学校にも差別なく無償化適用を求めるネットワーク愛知」の共同代表の山本かほりさんが寄稿してくださっている。タイトルは「朝高生たちがつかみとる〈祖国〉」。愛知無償化裁判で山本さんが名古屋地裁に提出した意見書「朝鮮学校で学ぶことの意味―朝鮮学校での営み・朝鮮民主主義人民共和国との関係をいかに考えるのか?―」の概要を解説したものだ。
朝高生たちが、朝鮮学校や朝鮮訪問を通していかに「祖国」を獲得して行くのかについて、説得力をもって語っている。
9月13日の東京無償化裁判の判決の日。多くの朝高生たちが傍聴を求めて東京地裁に集まった。しかし、判決は原告の訴えに何も答えることなく、政治的・外交的な判断にもとづく排除であったことが明らかなのにも関わらずそのことの判断から逃げた、原告の朝高生たちを侮辱するものだった。
現在、国連総会が行われているが、アメリカのトランプ大統領と日本の安倍首相は、朝鮮民主主義人民共和国を抹殺しようと演説で繰り返し訴えた。日本政府は在日朝鮮人の民族教育を抹殺しようとしているが、アメリカや日本の対朝鮮政策と流れをひとつにするものだと思っている。
無償化裁判は、広島で不当判決、大阪で勝訴、東京で不当判決となった。九州、愛知の判決、控訴審、最高裁とこれからも続いていく。勝つために全力を尽くすのだが、たとえどのような結果になっても、在日朝鮮人の民族教育は続いていく。
朝高生の学校も祖国もなくなることはない。(k)