輝く人生
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イオ11月号の特集タイトルは「輝くシニア世代」。高齢者と呼ばれる年齢になっても、日々明るくいきいきと生活している同胞たちを紹介する。
昨日は都内在住の女性にお会いしてお話を伺った。
現在81歳のその方は、77歳の時に胃ガンが発覚し、胃を3分の2摘出する手術を受けたという。しかし早期発見だったのもあって手術後は1週間で退院し、日常生活で自分なりのリハビリを続けた。今ではすっかり回復し、今年の夏には青春18きっぷを使って5日間の四国旅行にも出かけたほど元気だ。
毎朝5時半に起きて30分間、下半身のストレッチをする。週に平均3回は出かけ、最低でも月に4本は映画館で映画を観る。毎週一度、地元にある朝鮮学校で子どもたちに習字を教えている。予定のない日も、自宅でおかずの作り置きをしたり、掃除をしたりと忙しく動き回っている。
コンサートや展覧会、友人との食事など、数ヵ月先まで楽しみがたくさんあると嬉しそうに話していた。いつも持ち歩いているというスケジュール帳を見せてもらうと、予定がびっしり書き込まれていて(私よりリア充)と思った。
夫は10年前にガンで亡くなった。子どもたちは遠くに暮らしているため独り暮らしだ。
「苦しいことも色々あったけど忘れるようにしている。いつも楽しくいたいから」
「人はどういう時に苦しいかというと、精神的に抑圧された時に苦しいのね。経済的な苦しさは、生活次第でどうにかやりくりできるもの」
話す言葉一つひとつに、人生がにじみ出ているなと感じた。
背筋がしゃんと伸びていて、ヒールのついた靴でスタスタと歩く。
しかもその方は白髪染めをしていないという。髪色は「黒い髪に白髪が目立ち始めた」くらいのレベル。「友達に『あなた化け物ね』って言われたわよ」と笑っていたが、私は驚きのあまり一瞬声が出なかった。
最後に、夕日の差す橋の上で写真撮影をした。嬉しそうにこちらを見つめる笑顔は、お世辞ではなく本当に美しく輝いていた。(理)