韓国社会と朝鮮学校~モンダンヨンピル通信
広告
平昌オリンピックが盛りあがるなか、ソウルから素敵な雑誌が届きました。
「몽당연필로 쓴 하나~조선학교와 함께하는 사람들(モンダンヨンピルで書いたハナ~朝鮮学校とともにする人たち )」の2号。
朝鮮学校を支援するために生まれた韓国の市民団体「モンダンヨンピル」が結成されたのは2011年。北海道の朝鮮学校に密着した映画「ウリハッキョ」の金明俊監督や、俳優の権海孝さんらが中心となり、東日本大震災で被災した朝鮮学校の支援を始めました。現在もコンサートや学習会、グッズ販売に取り組みながら理解を広げています。
2号目の特集は「抵抗」と銘打たれていました。「朝鮮学校高校無償化裁判」の現場ルポ、4月24日に70周年を迎える「4・24教育闘争」、大阪の民族学級の現状などで構成されています。4・24の目撃者・ペヨンエさんのインタビューや、大阪の民族学級が直面する課題がドシンと胸に響きます。
朝鮮学校を知るための入門編の位置づけでしょうか。「在日同胞を深く知る」と題して、韓国で研究生活を送る学者のインタビューや、「ウリハッキョ学生たちの恋愛」、「食べ物で知る在日同胞の言葉」などのコラムもおもしろかったです。
16年間、朝鮮学校で育った自分としては、「空気」のように感じていたことが、何も知らない人にはこう伝えるんだという新しい発見がありました。
今、平昌には長らく入国を拒否されていた朝鮮籍の同胞たちが多数、応援にかけつけていますが、なぜ故郷に自由に入れないのか―。この疑問を解くべく「朝鮮籍同胞の入国拒否問題」もやさしく解説しています。京都の高麗美術館、金松伊さん作の絵本「なっちゃんがいく」や映画「60万回のトライ」など、文化情報も独自の視点が光っていました。
今日、14日の15時から、大阪では無償化裁判の控訴審が行われます。
「私たちを取り巻く環境はまだまだ厳しい。不安定な情勢と年々厳しくなるウリハッキョ…。しかしモンダンヨンピルの始まりのように、ウリハッキョの子どもたちのように、笑いながら明日を準備します」―権海孝さんは巻頭の発刊辞でこう綴っています。
雑誌を読み終えたあと、「子どもたちに民族教育を―」という私たちの素朴な願いが海を越えて広がっていることに小さな希望を感じました。
この雑誌が韓国の市民社会で読まれていくと思うと、イオの仕事が色んな人に届いていくようで、嬉しいです。(瑛)