明日、10年半ぶりの北南首脳会談
広告
明日4月27日、板門店で10年半ぶりの北南首脳会談が開かれる。
3回目となるトップの出会い。紆余曲折を経ながらも、再びつながれた出会いに希望は膨らむ。
刻一刻と迫る会談を前に立ちあがるのは、亡き一世の姿。自身の祖父母だけではなく、取材で出会った数多くの一世たちに、この光景を見てほしかった―。
1999年に亡くなった祖父は、多くの一世がそうだったように、朝鮮半島の北と南に親族が分かれて暮らしていた。
突然に訪れた長男の死。ふさぎこむ両親を「最後の親孝行」にと朝鮮民主主義人民共和国に暮らす叔父家族のもとに連れていったのは母だった。
韓国に近いヘジュの街で再会を遂げ、別れ際に91歳の祖父が叔父に握らせた紙きれには、「통일을 못본채 돌아간다(統一した祖国を見られずに帰る)」とあった。どれほどの悲しみが込められた言葉だったろう。
青年期に故郷を離れた祖父は、冷戦が強いた分断体制のもと、故郷には行けず、親の死に目にもあえなかった。
世間では「朝鮮の非核化」が首脳会談のテーマと言われているが、会談を重ねる過程で、外勢によって引き起こされた朝鮮戦争が完全に終止符を打ち、大国の思惑によって踏みにじられた朝鮮民族の尊厳が回復されることを切に望む。
朝鮮、韓国という2つの国籍表示、永住権を振りかざした韓国籍への強要…分断体制は日本でも幅をきかせ、国籍表示が踏み絵のように機能し、人々の心を荒ませてきた。何より、同胞社会の政治的な対立は辛かった。それが嫌でこの社会を離れた人も多い。
「統一朝鮮に生まれたかった」という言葉を聞いたことがある。在日朝鮮人の尊厳回復には本国の平和的環境こそが必須条件。多くの在日コリアンが固唾をのんで会談の成功を見守っている。
明日の会談は、生中継で世界に発信される。それも38度線上の板門店から。
イオ編集部は愛知、大阪の無償化裁判の取材に出向きながら、4・27の歴史的な日を祝う各地のイベントに赴きます。読者のみなさん、各地でお会いしましょう!(瑛)