無償化と強制徴用、二つの判決
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10月30日、東京高裁で無償化裁判控訴審判決が出た。原告の訴えを退けた1審の判断をそのまま継承した不当な判決で、原告が敗訴した。昨日の日刊イオで(瑛)さんが詳細を報告しているので読んでもらいたい。
私は3時半ごろに高裁前に到着。4時に裁判が始まったが、すぐに旗を持った弁護士二人が歩いてきた。その表情を見た瞬間に不当判決が出たことがわかった。
7時から王子で行われた「朝鮮学校の子どもたちに笑顔を!! 10/30東京朝鮮高校生「無償化」裁判高裁判決集会」では、弁護団の8人の弁護士が発言した。それが非常に心に突き刺さった。判決に対する憤りや無念さなどをストレートに語る。法律に携わる人間として、朝鮮学校を卒業した者として、これまでの人生をそのまま背負ったように絞り出した言葉たち。涙で声を詰まらせ、時に天を仰ぐ。
集会では、東京朝高生たちが歌を披露しアピールした。その姿を見ていた参加者たちから、「こんなに立派な生徒たちを差別するのは許せない」などという声が聞こえてきた。
朝高生たちの国籍がどこであろうが、朝鮮学校がどういう教育をしていようが、オープンであろうがなかろうが、卒業生が朝・日の架け橋になろうがなるまいが、朝高生が立派であろうがなかろうが、無償化制度から排除するのは差別であり、法に反している。日本当局が在日朝鮮人の民族教育をつぶすために行っていること。絶対に許されることではない。
九州は来年3月に1審の判決が出る。広島、愛知は控訴審を闘っている。大阪と東京は控訴審で敗訴となり、舞台は最高裁に移される。裁判は続くが、これからの裁判、非常に厳しいと言わざるを得ない。しかし、闘うしかない。
同じ30日、韓国でも注目の判決が出た。聯合ニュースは次のように伝えている。
「日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者4人が新日本製鉄(現新日鉄住金)に損害賠償を求めた訴訟で、韓国の大法院(最高裁)は30日、原告を逆転勝訴させた差し戻し控訴審判決を支持し、新日鉄に原告1人当たり1億ウォン(約1000万円)の支払いを命じた。日本政府は強制徴用被害者の個人請求権問題は1965年の韓日間請求権協定で解決済みとの立場を取っており、両国間の外交やビジネスへの影響は必至だ。」
これに対する日本政府の反応、日本のマスコミの報道は、過去の国家犯罪に対する反省のかけらもまったくないもので、非常に憤りを覚えた。
日本製鉄元徴用工裁判を支援する会や韓国の団体などが連名で発表した共同声明では、次のように指摘している。
「今回の裁判は、植民地支配下において日本企業が行った強制労働(奴隷労働)に対する法的責任を認めるかどうか、また元徴用工被害者の人権回復を法的救済によって図るかどうか、つまり植民地支配によって奪われた個人の尊厳を回復するかどうかを問う裁判でした。それは1965年に締結された日韓条約などの二国間条約によって被害者の人権が奪われても良いのかという国際人権法に基づく個人の権利の問題をも問う重要な裁判でした。
私たちは、今回の判決を全面的に歓迎します。新日鐵住金は、ただちに判決に従い原告らに賠償金を支払い、訴外の被害者たちに対しても救済策を実施しなければなりません。同時にこれまで日韓条約で全て解決済みを主張してきた日本政府に対しては判決を真摯に受け止め強制労働問題の全面的解決に向けた施策を行うことを強く求めます。」
個人の請求権の問題に関しては、LITERAのネット記事「徴用工問題、文在寅大統領の発言はおかしくない! 日本の外務省も「個人の請求権は消滅していない」と答弁していた」が参考になる。
https://lite-ra.com/2017/08/post-3400.html?fbclid=IwAR1VbVMp1RMix8kBy2kN31g70DsdBRdhcQy4a2ZGXrjzN1X7CLv45ukrpVs
これは、高校無償化からの朝鮮高校排除と根っこを同じくする問題。日本が過去の侵略、植民地支配などの国家犯罪を心から反省しきっちりと清算しなければならない。(k)