「子どもたち、堂々と生きて」ー金福童さんとの出会い
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故郷の南には、朝鮮学校と子どもたちを見守り、共にありたいと願う同胞たちがいた―。
日本軍性奴隷被害者であり人権活動家の金福童さんと吉元玉さんとの出会いは、今でも心に深く刻まれている。
がんと闘いながら、朝鮮学校を支援し続けている日本軍性奴隷被害者の金福童さん(92)を見舞いたく、12月2日、正義記憶連帯の尹美香理事長とともにソウル市内の「平和のウリ家」へ向かった。「平和のウリ家」の建物は、ある教会がハルモニたちに住んでほしいと提供したものだ。庭では熟れた柿を切る男性の姿。日曜日ごとに訪れるボランティアの方々だという。
南と日本社会で人権活動家として尊敬を集めている金さんは、橋下徹大阪府知事が日本軍性奴隷問題で暴言を吐いたときも、毅然とした態度で記者会見に臨み、高校無償化制度から排除されている大阪朝鮮高級学校や朝鮮大学校を訪れては、生徒たちを励ましてくれている。
記憶に新しいのは、大阪無償化裁判の控訴審で逆転敗訴判決が下った18年9月27日、報告集会に参加し、翌日には台風被害に遭った城北朝鮮初級学校と大阪朝鮮高級学校を励ましに訪ねてくれたことだ。その姿に保護者や子どもたちがどれだけの力を得ただろう。そして、入院中の18年11月には、自身の全財産で朝鮮学校を支援したいと3000万ウォン、退院後に2000万ウォンを追加し計5000万ウォンを新世代の学業を支援する基金「金福童の希望」に寄付した。
家の2階、螺鈿の家具が調度されたオンドルの部屋で休んでいた金さんは、起き上がってはいつものように気丈に話してくれた。
「朝鮮学校の生徒たちに堂々と生きてほしい。朝鮮学校でたった一人でも立派な人材を育てたいというのが私の気持ちです。そのためには後援者が必要です。団結しなさい。団結して日本に勝たなければならない。
…第2次世界大戦時に若い青年たちに日本の名前を強い、完全な日本人に作り、連行し…その犠牲になったわが民族が、今でも日本で苦難を強いられている。必ず南北統一を成し遂げ、戦争のない平和な世界を作り、互いに行き来できるよう努力しなくてはなりません。夢を長く抱いていれば、真実は戻ってきます」
(朝鮮語原文)
조선학교 학생들이 당당하게 나서주기 바란다. 조선학교에서 한사람이라도 훌륭한 사람을 만들고 싶다는 것이 나의 마음입니다.조선학교를 원만하게 만들자면 후원자가 필요합니다.
단결하세요.단결해서 일본한테 이겨야 한다.
…2차대전때 젊은 청년들을 모조리 일본이름으로 바꾸고 완전한 일본사람으로 만들고 끌고가서 …희생당한 우리 민족들이 지금도 남의 나라에서 설음을 받고 있다.
어떻게 해서 남북통일을 해서 전쟁없는세상,평화로운 세상이 되여 서로가 오고 가고 할수 있도록 우리가 노력해야 된다.꿈이 길면 진실이 돌아온다
日本政府から差別を受け続ける朝鮮学校の子どもたちの痛みに気持ちを重ね、自身の生活資金をすべて差し出して支援するだけに留まらず、訪れた朝鮮学校出身者を励ますその姿に涙があふれ、背筋が伸びた。
金ハルモニは、別れ際、「しっかりせえよ!」と記者たちにハッパをかけてくれたのだが、愛情深く叱咤激励する姿が職場の上司のようにも思えた。「書くことで世間に訴えなさい」と言わんばかりの気迫に満ちた姿だった。
金ハルモニは、高齢ゆえに抗がん剤治療はできず、鎮痛剤を打ちながら日々を送る。
入院中もこの家に帰りたいと希望していた金さんを毎日傍で見守る「金福童の希望」の梁路子事務局長(49)は、「以前に比べて食べることも大変になっていますが、最近気力が少し戻ったようです。福童ハルモニは寄付された後も、あと3年後にもこれくらい集まるから、また朝鮮学校を支援したいとおっしゃっていました」と教えてくれた。
一緒に暮らす吉元玉さん(90)がそばで福童さんの話をじっと聞いていた。北部出身の吉さんが話す言葉にはサトゥリが残る。13歳時に連行され性奴隷生活を送ったのち、解放後は南部に暮らすことになった吉さんは、離散家族の一人だ。2008年に市民団体とともに北部の故郷を訪れた。
普通江で遊んだ記憶をたどりながら育った村と思われる場所を車で通ったが、面影はなく、寂しさを抱えたまま戻ってきたという。生き別れたきょうだいや離別の最中に生まれたであろう甥や姪にひと目会いたいと、南北の鉄道連結に期待を寄せる。吉さんは、次の取材先へ向かう私たちを玄関でずっと見送ってくれた。
夜、光化門から宿泊先に向かって歩いていると、日本大使館前にテントを張って籠城する人たちがいた。そばには「日本軍性奴隷制に対する賠償、売国的『韓日合意』破棄を求める大学共同行動」の横断幕。
テントから出てきたチョン・ガラムさん(22)に聞くと、15年12月30日に朴槿恵政権と安倍政権が被害者の思いを無視して決めた「韓日合意」に怒りを抱いた大学生たちが、毎日交代でテントに泊り込み、抗議の意思を示しているというという。被害者が一人二人と亡くなるなか、焦りは募る。しかし若者の行動力にハルモニたちの勇気が受けつがれていることが感じられ、心強かった。
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韓国の統一ニュースは、今年の台風で大きな被害を被った中大阪朝鮮初級学校が復旧を遂げていることを報じており、人気記事のトップを飾っていた。
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=127290
「今からでも共にありたい」と朝鮮学校に心を寄せる南の同胞たち。日本政府の冷たい仕打ちに、朝鮮学校の現場は厳しい運営を強いられているが、海を越えた支援に心を強く持たねばと感じた。人間とは孤独でない限り、がんばることができる。
(瑛)のブログは今年最後となります。1年間のご愛読、ありがとうございました。(瑛)
※写真提供=朝鮮新報:盧琴順