大阪朝高ラグビー部、2回戦敗退も魅せた!執念のトライ
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第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会第2回戦が12月30日、東大阪市花園ラグビー場第1グラウンドで行われた。
12月28日の大会1回戦で日川高校を破った大阪朝鮮高級学校ラグビー部はこの日、報徳学園高校(兵庫県代表)と対戦。ノーシードの大阪朝高とシード校の報徳学園との近畿勢対決は注目の一戦となった。
大阪朝高の前日(29日)練習には同校ラグビー部のOBたちも駆けつけ、28日の日川戦の課題を修正しながら、報徳戦の対策を練っていた。権晶秀監督は報徳戦について「先制パンチ。開始の5~10分は敵陣でプレイして、先制トライを取りスタジアムの雰囲気を変えたい」と話していた。
試合は権監督の展望どおり、大阪朝高が「先制パンチ」を仕掛ける。9分に大阪朝高は右中間のスクラムから9番の李錦寿選手(1年、スクラムハーフ)から12番の李承信選手(主将、左センター)へとつなぎ、李選手がそのままトライ。大阪朝高は5-0と先制に成功した。
相手の反則からの先制トライに流れが大阪朝高に傾くかと思われたが、同11分、報徳学園はバックスが素早いパス回しを展開しトライを決め、同点に追いつく。ゴールキックも成功し、大阪朝高は5-7とすぐさま逆転を許してしまう。
報徳のグラウンドを広く使ったプレーにディフェンスが徐々に崩れていった大阪朝高は、立て続けにトライを許し、5-29とスコアは大きく引き離される。
前半終了間際、大阪朝高は持ち味のモールからそのまま押し込み、2番の金樹一選手(2番、フッカー)がトライを決める。10-29で前半を折り返した。
後半も先制トライを決めたい大阪朝高だったが、報徳学園のバックスを軸とした攻撃を前に、後半4、10分とトライを献上。スコアは10-43に。
しかし、大阪朝高の選手たちは最後まで試合を諦めなかった。同22、26分に3番の崔暢賢選手(3年、プロップ)、李選手がトライを決め試合にくらいつく。
試合終了間際、大阪朝高はゴール前5mの左ラインアウトからモールを組み、そのまま押し込み執念のトライを決める。李選手がキックを決め、試合終了を告げるノーサイドの笛が鳴り響いた。最終スコアは29-50。大阪朝高は2回戦で「花園」の舞台から姿を消すこととなった。
(写真:盧琴順・朝鮮新報)
試合終了後、報道陣に囲まれるなか権監督は「先制トライも決め、試合の入りは良かったが、報徳にスペースのあるところでプレーを展開させられて対応できなかった。自分たちの強みをより多く発揮できるチームが試合に勝利することができる。その部分では報徳が一枚上だった」としながら、「点差が開いても、選手たちは意地を見せ力を出し切ったと思う。3年生の選手たちには良くやったと伝えたい」と悔しさを滲ませた。
李承信主将は「前半序盤に攻められる時間が続いたが、ディフェンスが頑張ったおかげでトライを決めることができた。先手を打つことができてよかった」と先制トライを振り返りながらも、「試合展開で報徳が上手だった。力不足を実感しました。2回戦敗退で過去の偉大な先輩たちには及ばなかったけど、『花園』の舞台で3年生と一緒にラグビーをすることができたのは大きな財産となった。後輩たちはこの貴重な経験を糧にしてほしい」と話した。また試合中、同胞の声援が後押しになったとしながら「もっと上に行って、同胞たちに試合をみせてあげたかった」と悔しさを滲ませた。
4年ぶり10度目の「花園」出場を果たした大阪朝高ラグビー部。惜しくも2回戦敗退となったが、新たな大阪朝高ラグビー部の「伝統」を築きあげたと取材をしながら実感した。選手、スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした。(全)
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