国側の書面は「ゼロ解答」、裁判は続く―広島無償化裁判控訴審第4回口頭弁論
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広島朝鮮学園と広島朝鮮初中高級学校高級部の卒業生らが国に対し、同校を高校無償化・就学支援金支給制度の対象に指定しなかった処分の取り消しなどを求めた裁判の控訴審第4回口頭弁論が2月12日、広島高等裁判所(三木昌之裁判長)で行われた。
今回、裁判の傍聴取材はできなかったが、広島朝鮮学園側から提供されたレポートと資料に基づき、この場を借りて第4回期日の内容について簡単に報告したい(写真提供も広島朝鮮学園)。
前回の控訴人側(朝鮮学園、卒業生)の求釈明申立に対して、今回、被控訴人側(国)から第3準備書面が提出された。求釈明は、なぜ不指定処分と規定ハ削除が同日に行われたのか、なぜ審査会の審査の結論を待たずに不指定処分の決定を下したのか、など7項目にわたる。しかし、被控訴人側が提出した書面の内容は実質「ゼロ解答」だった。
控訴人側代理人は第7準備書面と意見書、証人尋問に立つ原告の陳述書などを提出し、意見陳述を行った。控訴人側代理人は国側の書面に誠意がないことを訴え、これ以上釈明がなされないのであれば、前川喜平・前文部科学事務次官の証人尋問に応じるよう求めた。第7準備書面は、控訴人側が入手した無償化法制定にあたって文部科学省が作成した法律案の想定問答集の内容に基づいたもので、▼「高等学校の課程に類する課程」には、不当な支配や財政運営の適正の観点は含まれないこと、▼不正受給防止については、「高等学校の課程に類する課程」の判断枠組みで解決すべき問題ではなく、他の規定による解決が想定されていたこと、など想定問答集の解釈が原告(朝鮮学園、卒業生)の主張と一致することなどを主張している。
裁判官は3月末までに国側に控訴人側の準備書面、意見書に対する反論を新たに求め、学園側には朝鮮学校と総聯、つまり民族学校と民族団体との関係を具体的に陳述するように求めた。
口頭弁論終了後、弁護士会館で2.20全国行動月間広島集会が約140人の参加の下で開かれた。集会では日朝友好広島県民の会の代表からあいさつがあった後、弁護団から第4回期日の報告、広島朝鮮初中高級学校の学校長から無償化除外問題の経緯と裁判概要報告、1月にジュネーブで開かれた国連子どもの権利委員会の会期中に行われた子どもの権利条約の日本政府報告書審査に合わせて現地を訪問し、ロビー活動を行ってきた同校オモニ会会長による報告などがあった。
次回、控訴審第5回口頭弁論は4月23日、14時から広島高裁で行われる。証人尋問は第6回期日以降に行われる。(相)