6年目の2・20と、5回目の国連勧告
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国連・子どもの権利委員会は2月7日、スイスのジュネーブで記者会見し、1月16日・17日にかけて行われた対日審査の結果として、総括所見(CRC/C/JPN/CO/4-5)を公表した。このなかで子どもの権利委員会は、日本政府に対し、「39.(c) 『〔高校〕授業料無償化制度』の朝鮮学校への適用を促進するために基準を見直すとともに、大学・短期大学入試へのアクセスに関して差別が行なわれないことを確保すること」を勧告した。
詳しくは現地で対日審査を傍聴した宋恵淑さん(在日本朝鮮人人権協会)の解説を参照されたい。
http://chosonsinbo.com/jp/2019/02/csg0218/
「朝鮮学校適用への「基準の見直し」を/子どもの権利委員会、日本政府に対し朝鮮学校への「高校無償化」制度の適用を勧告」
2010年4月に無償化制度からの朝鮮学校除外が始まって約9年。この間、国連人権条約審査委員会から計5回の勧告が出ているにもかかわらず、日本政府はこれを無視し続けている。
今日は2月20日。
6年前の13年2月20日、12年末の総選挙で圧勝した自民党政権下で新たに就任した同党の下村博文文科大臣は、「拉致問題の進展がない」「国民の理解を得られない」と言い、朝鮮高校を就学支援金の対象に指定するために作られた決まり―「規定ハ」を削除するという暴挙に出た。
国が「規定ハ」をなくし、朝高を不指定にしたことで、朝鮮高校は「規定ハ」が復活しないかぎり、就学支援金の対象から永久的に対象外にされることになった。就学支援金を支給するための法律は「すべての子どもたちを対象に」と定めているのに、国は法律に反し、朝鮮高校生の学ぶ権利を奪ったのだ。
2010年から17年まで支給されなかった朝鮮高校の生徒は日本全国で5000人以上、本来支給されるべきだった支援金は概算で17億8200万円に達する。
この4月には、就学支援金制度から朝鮮高校が排除されてついに10年目になる。
当時小学校1年生だった子どもが高校に入学するほど、長い年月がたってしまった。この9年間は、子どもたちにとって「二度と取り戻せない」月日だ。一人ひとりの子どもに降りかかった差別の「傷」…。また、国から狙い撃ちの差別を受けていることにより、朝鮮学校を遠ざける人たちがどれほど増えてしまっただろうかと思うと、権力による差別の酷さを感じざるをえない。
しかし、民族教育の権利を求める闘いは、いつの日も、立ち止まることなく続けられてきた。前述した5回にわたる国連勧告も、闘って勝ちとったものだ。そして、今年も「2・20全国行動」と題して、日本各地で差別なき高校無償化の実現を求めるアクションが年始の1月から各地で行われている。
本日2月20日(水)、東京・御茶ノ水の連合会館では、高賛侑さん制作のドキュメンタリー映画「アイの学校」上映会が開かれる(19時から、映画は99分)。関東圏では初の上映だ。
22日には埼玉県で補助金再支給を求める要請活動と講演会が開かれるなど、その地域が抱える課題にあわせて、子どもたちの学ぶ権利を求める活動が繰り広げられている。寒空のなか、日本市民、保護者、そして生徒たちが、心からの叫びを、街の人たちに届けている。(上記資料参照)
沖縄の基地問題にデータの改ざん…。この国の政治、行政の有様は散々だ。無償化裁判もしかり。しかし、自らが作った法律の理念をかなぐりすて、時の為政者(政治家ではなく政治屋)が都合よくそれをなくしてしまう(それも、いじめまがいのやり方で)、バカげたことがいつまでも続くとは到底思えない。6年目の「2月20日」を刻みながら、その思いを新たにしている。(瑛)