ふたたび延長された対朝鮮独自制裁
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日本政府は9日の閣議で、2006年から実施している朝鮮民主主義人民共和国に対する独自制裁を2年延長することを決めた。
制裁の発動から13年。この間、制裁措置は国会で全会一致または圧倒的多数の賛成によって拡大・強化され、期限の延長を繰り返してきた。07年から12年までは期限が1年だったが、13年から2年に延長されている。制裁は広範囲におよんでおり、現在、両国間ではヒト・モノ・カネの流れが全面的に遮断されている。制裁措置は今年4月13日に期限を迎えるが、与党・自民党はこれをさらに2年間延長することを決定。日本政府も9日の閣議で延長を決めた。
制裁の主な内容は、朝鮮への渡航自粛要請、日本の国家公務員の朝鮮渡航見合わせ、朝鮮籍者の入国禁止(再入国除く)、在日の「北朝鮮当局職員」および「補佐する立場にある者」の再入国禁止、貿易・金融措置違反者、核・ミサイル技術者の再入国禁止、すべての品目の輸出入禁止、300万円超の対朝鮮支払報告規制、10万円超の携帯現金の届出規制、「10万円以下の人道目的」を除く朝鮮向けの支払禁止、すべての朝鮮籍船舶の入港禁止、朝鮮に寄港した日本籍船舶および第三国籍船舶の入港禁止、航空チャーター便の日本への乗り入れ禁止など。
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/04_seisai/kitachosen.html
この制裁措置によって祖国自由往来をはじめとする在日朝鮮人の諸権利は侵害され続けている。これで何度目の延長だろうか。制裁の延長が「当たり前」の光景となって久しい。その状況に自分自身が慣れっこになっているのも怖い。最近では、訪朝した神戸朝鮮高級学校の生徒たちが空港の税関でお土産を没収された出来事が記憶に新しい(後に返還)。これも「対北朝鮮制裁」をめぐる状況の一断面なのだが、この時は事態がSNSなどで拡散され、メディアでも報じられるなど社会的に批判の声が上がった。しかし全体でみると、日本の政治、世論、メディアの中で制裁措置がさしたる反対もなく受け入れられているという異様な状況が続いている。
この問題についてはたとえば、在日本朝鮮人人権協会が2017年10月30日に発表した「在日朝鮮人の人権を侵害する制裁措置の廃止を求める意見書」 http://k-jinken.net/?p=902 などにくわしい。(相)