“先輩”たちに学ぶキャリアデザインー第2回Roots Project
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「Roots Project」による第2回目のキャリアセッションが4月20日、東京都内で行われ、同胞の大学生や社会人など30人以上が参加した。「Roots Project」とは在日コリアン有志らによるチームで、「若い世代が『在日コリアンでよかった』と誇りに思えるようなきっかけや体験を提供する企画・場づくり」を目指している。
前回、2月24日の「グローバルキャリアを考えるトークセッション」に続き、この日は「キャリアデザインを考えるトークセッション」と題してゲストらが経験を共有した。
開始に先立ち、株式会社マイナビで働く李昌信さんが司会をし、「これからの人生で自分が迷った時にどう生きるかを考える『なにか』を掴むきっかけになれば」と呼びかけた。
はじめに朴養順さん(神戸朝鮮高級学校卒)が登壇。朴さんは立命館大学を卒業後、株式会社リクルート、Amazon Japan合同会社、Indeed Japan株式会社を経て、現在はLINE株式会社にて勤務している。転職を重ねながらキャリアデザインを組み立てていく考え方と自身の経験について話した。
朴さんは、「日本では転職に対するネガティブなイメージしかないが、全ての経験が皆さんの価値になるので、どんなことを言われてもぜひ自分で現状を見極めながらトライしてほしい」とエールを送った。
続いて登壇した金誠樹さん(山口朝鮮高級学校卒)は、Cykanエンターテインメント、株式会社ヘッドウォータース、NHNJapan、NHNST、株式会社SEGA、合同会社DMM GAMESとIT系の分野で転職を重ね、今年5月から個人事業主として独立した経緯について振り返りながら、自身の働き方をのべた。
また、Roots Projectの呼びかけ人である李成一さん(大阪朝鮮高級学校卒)もこれまでの職歴と現在の仕事について発表。日本、韓国、台湾などでシェアハウスを展開している意義を話した。
最後にゲスト全員でクロストークを行い、司会や会場から寄せられたテーマに沿ってそれぞれの持論を語り合った。
「これからの時代、どんな人材が求められるか」という質問に対して朴さんは、「モノやサービスはこれからもっと細分化されていくと思う。その上で、分野ごとの“スペシャリスト”と幅広い知識や技術を持つ“ジェネラリスト”の両極端が求められるのではないか。その中で個々人のポテンシャルが評価される。私個人について言うなら、自分のやりたい分野においてスキルセット(自分が有している知識や技術)を増やして経験を積み上げていくことでジェネラリストになりたい。皆さんの力は“かけ算”でどんどん広がっていくので、かけ算の数を増やしていってほしい」とアドバイスした。
会場では、参加者同士も自己紹介やこの日の学びについて話し合い、交流を深めていた。
30代の同胞男性は、自分と同じ世代の在日がどう生きているのか関心があり、偶然見つけた今回のイベントに参加したという。かれは10代の頃に家族とともに日本国籍へ「帰化」し、在日同胞コミュニティと出会うことなく成長したそうだ。しかし、自身のルーツは自覚しているなかで社会や情勢を見ながらモヤモヤすることが増え、一方で周りの日本人とは共有できず、同じルーツを持つ人たちとの出会いを求めた。今後のイベントにも注目していきたいと笑顔を見せた。
Roots Projectのメンバーに共通しているのは「後輩(若い世代の在日コリアン)たちのために」という思いだ。
育った背景や国籍、自称(在日コリアン、韓国人、在日朝鮮人など…)、アイデンティティの掴み方はそれぞれだが、これから社会に出る子どもたちのためにとボランティアでイベントを企画・運営している。
李成一さんと朴養順さんは朝鮮学校や留学同、青商会の学習会・イベントなどにも呼ばれ、この社会の中で一人ひとりが自身の価値を生かすためにはどうしたらいいか、ヒントになるような内容を伝えている。
また、上で紹介したような、これまで同胞コミュニティとつながることのできなかった人も参加しやすい、間口の広い場でもあるのだなと感じた。
次回、第3回目のイベントは6月1日(土)の13時から予定されている。「最新テクノロジーで進化するビジネス戦線」というタイトルで、eスポーツとプログラミングを体験しながら学べる場を企画中だ。詳細はRoots ProjectのFBページか以下のHPで告知される。(理)