お助けとんぽライフ 受験資格:大学受験、国家資格試験
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在日同胞が直面する生活上のさまざまな問題の解決法について、人生のステージごとにわかりやすく解説します。
文時弘 ●在日本朝鮮人人権協会
受験資格
Q1 ヨンホさんの妻・ミファさんの弟が来年、日本の大学を受験するそうです。かつては朝鮮高校卒業生に国立大学の受験資格が認められていなかったけど、現在の制度はどうなっているの?
A:朝鮮高校卒業生の大学受験資格について、かつて少なくない私立・公立大学がそれを認めてきた一方で、国立大学は完全に門戸を閉ざしていました。しかし、1990年代後半の運動の盛り上がりをうけて、文科省が2004年度以降、国立大学の「個別の入学資格審査」による受験資格を認めたことにより、不完全な形ではあるものの事実上「門戸開放」されました。「個別の入学資格審査」とは、その出願者に相当の学力があるかどうか各大学が判断する事前の審査をいいます。審査の実施の有無および審査の方法等は各大学が定めています。ただし、一部の私立大学では依然として受験資格を認めていない大学もあるので、志望校について事前に受験資格を確認する必要があります。受験資格が認められていない私立大学の場合、高等学校卒業程度認定試験(旧大検)に合格してから受験をするか、通信制の高校とダブルスクールをして「高卒」の資格を取得してから受験する必要があります。
また、大学受験資格問題の運動成果が波及する形で、朝鮮高校卒業生の看護学校や鍼灸学校、社会福祉士や歯科技工士、柔道整復師などになるための専門学校などの入学資格も弾力化されています。
Q2 朝鮮学校卒業生が受けられる国家資格試験にはどのようなものがあるの?
A:試験によって受験資格の規定に差異がありますが、朝鮮学校/大学校卒業生の国家資格受験の門戸は広がりつつあります。司法書士試験や行政書士試験など高校卒業の要件がない資格試験については、かねてより問題なく受験できますし、国立大学の受験資格の弾力化を契機に朝鮮高校/朝鮮大学校卒業生の受験資格が認められる資格試験が次々に増えています。
たとえば、朝大卒業生の保育士試験の受験資格について、04年に東京都が正式に卒業見込みの朝大在学生にも受験資格を認めました。05年には、朝大卒業生にも社会保険労務士の受験の道が開かれることとなり、さらに朝大在学生(指定の単位を履修した場合)に初の「税理士試験受験資格認定通知書」が交付され、これにより朝大在学生および卒業生にも、その他の日本の大学卒業生と同じように日商簿記一級等の資格なく税理士試験を受験する道が開かれています。
しかし、数多ある資格や学校すべてで受験資格が認められているとはいえず、受験資格を認めないというケースもありうるといえます。たとえそのような対応をされても、ねばり強く対処することで道が開かれたケースがたくさんありますので、なにか問題が起こった場合は、在日本朝鮮人人権協会に相談してください。
NPO法人 同胞法律・生活センター
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