「RAM-HONG FLAG CAMPAIGN」始動―イギョラ、チョソン! 体連 東京五輪・パラ五輪プロジェクト
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文・写真:取材班
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを1年後に控えて、大会に出場する朝鮮民主主義人民共和国の選手たちを応援するキャンペーンをはじめ在日本朝鮮人体育連合会(体連)が主導する東京五輪・パラ五輪プロジェクトが本格始動した。
朝鮮選手応援キャンペーン/エンブレム、テーマ曲、アンバサダーも発表
7月11日、プロジェクト推進委員会が東京都内で記者会見を開き、概要を公開した。会見には体連の金政治理事長、推進委員会の宋修日事務局長(体連副理事長、朝鮮大学校体育学部長)、関係者らが出席した。
体連の五輪・パラ五輪プロジェクトは、▼在日同胞アスリートの中からオリンピアン(五輪選手)を輩出する、▼朝鮮選手団を歓迎し、応援する、▼祖国の威信と在日同胞スポーツ団体、アスリートの地位向上に努める、▼諸般の活動を円滑に推し進めるための財政基盤を整えるという4つが活動の柱となっている。
選手応援キャンペーンの名称は「RAM-HONG FRAG CAMPAIGN」に決まった。朝鮮民主主義人民共和国の国旗を表す「藍紅(람홍, Ram-Hong)色旗」のフレーズを取り入れた。
キャンペーンの内容は、①五輪に出場する(出場を目指す)朝鮮選手(在日同胞アスリート含む)に関するPR活動、②五輪・パラ五輪に対する応援の雰囲気を盛り上げていく活動、③応援グッズ販売を通じた収益確保事業の3つ。
キャンペーンの公式エンブレムとテーマソングがこの日の会見の場で発表された(18Pに詳細)。応援アンバサダーとして、元プロサッカー選手の安英学さん、陸上十種競技の元朝鮮代表・金尚龍さん、ビーチバレー選手の黄秀京さん、空手の元朝鮮代表・姜知衣さん、金剛山歌劇団の舞踊手・李莉踊さんの5人が就任した(〇〇ページに詳細)。推進委員会では今後もスポーツ以外に幅広い分野からアンバサダーを募集し、随時増員させていくという。
今後、各種同胞イベントの場を利用したPRのほかに、柔道世界選手権(8月25日~)などのプレ五輪(本番を控えて開催予定地で行われる競技大会)に出場する選手団の歓迎・応援、五輪出場を目指す在日同胞選手への激励、グッズの制作・販売や応援動画の募集などを企画している。
※問合せ=体連東京五輪・パラ五輪プロジェクト推進委員会(℡=03-3816-4357、担当=宋修日)
5色の五角星で駿馬をイメージ 公式エンブレム
キャンペーンの公式エンブレムは、フリーランスのデザイナーとして活躍するホ・サンホさん(46)がデザインを担当した。
朝鮮民主主義人民共和国の国旗の象徴ともいえる五角星を藍・紅・緑・黄・黒(グレー)の5色で表現し、組み合わせた躍動感あふれるデザインが特徴的だ。ホさんによると、青色は風を象徴し、スピードという意味を込めた。赤色は太陽を象徴し、モチベーションという意味を込めた。緑色は新芽を表し、潜在力や可能性といった意味を込めた。
そして、砂を象徴する黄色は集中力や判断力を表し、土を象徴する黒色はパワーを表している。
この5つの五角星がそれぞれ、競技場で躍動するアスリートたちを表現している。5つが組み合わさっ全体像は「躍動」「飛躍」を表した。飛躍する朝鮮の象徴として駿馬のイメージも重ね合わせている。
決して差別ではない」と答えると、支援者からは「話にならない」「良心があるのか」と怒りの声が飛び交った。
選手と同胞に向けたエール
テーマソング《그 기발을 휘날리며》
公式テーマソング《그 기발을 휘날리며》(あの旗をはためかせ)は朝鮮大学校外国語学部の李英哲准教授(45)が作詞・作曲を手がけた。うたうのは、朝鮮大学校音楽科を経て現在、同大の研究院で学ぶシンガーソングライターの宋知香さん(22)。
李さんはこの曲に2重の意味を込めたと語る。「厳しい練習を経て必ずや表彰台の最も高いところに立とうとするアスリートたちへのエールであると同時に、祖国とともに歩もうとする在日同胞たちを応援し、励ましたいという思いを歌詞に込めた」(李さん)。
今年初めから朝鮮で普及されている歌《우리의 국기》(われらの国旗)が応援キャンペーンのモチーフ。試練に打ち克ってきた祖国と、勝利を目指してたたかう選手たちの姿、祖国を仰ぎ見てきた在日同胞たちの思いと、そんな同胞たちの背中を後押ししてきた祖国の姿が重ね合わされる。抒情的なメロディとサビの盛り上がりが聴き手の心を静かに高ぶらせる。
歌い手の宋知香さんのソウルフルな歌声が曲の魅力をいっそう際立たせる。「聴き手を奮い立たせるという気持ちでうたいたい」(宋さん)。
《그 기발을 휘날리며》は、オリジナルとは別に、スタジアムをはじめとする応援の場で気軽に歌えるアップテンポバージョンも作られた。