”差別に苛まれる子、作る”―日本外国特派員協会で記者会見
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幼保無償化からの排除について、 保護者たちは、国内や海外メディアにも発信を続けている。
「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」は9月27日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見を開き、同連絡会の宋恵淑代表と康仙華弁護士、鶴見朝鮮幼稚園教員の徐怜愛さんが「明らかな差別」だと訴えた。
冒頭、宋代表は、
「朝鮮幼稚部をはじめとする外国人学校は、自己の出自を肯定的に受け止め、アイデンティティを確立していく大切な学びの場。まさに『幼保無償化』の理念のひとつである『健やかに成長する』ために必要な施設だ。
日本が批准した国際人権諸条約にも保障されているマイノリティの子どもたちの教育を受ける権利を尊重しようという観点がすっぽり抜け落ち、適用除外にされてしまったことは、悲しく、悔しい思いでいっぱい。
理不尽な差別で傷つけないでほしい。人権侵害しないでほしい。保護者としての願いです」と訴えた。
また、記者の質問に対して「朝鮮学校は、植民地支配時に奪われた言葉や文化を取り戻すための国語講習所がもとになっている。日本政府は朝鮮学校をうとましく思っている。70年間、何度もあった弾圧の歴史がそれを示している」と差別の本質を語った。
康弁護士は、日本政府が各種学校の幼稚園を対象外とする理由2点—
①多種多様な教育を行っており、法律により幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えない、
②各種学校は、児童福祉法上、認可外保育施設に該当しない)
について、これらの理由は矛盾していると指摘。
①各種学校の幼稚園は各種学校の設置基準を満たしており、朝鮮学校の幼稚園は「幼稚園教育要領」に準じた教育を行っている、
②各種学校が、認可外保育施設に該当しないという法令上の根拠が一切ない。むしろ、児童福祉法、厚生労働省の通達によれば、乳幼児が保育されている実態がある施設は認可外保育施設に該当。理由として成り立たない、と論破した。
徐教員は現場の声を届けた。
「私たちは、子どもたちが幼児期を経て社会人として成長するにあたっての、『根っこ』を育てている。無償化除外の現実に、この日本社会が生まれながら差別に苛まれる子どもたちを作り出してしまうという危機感を強く感じている。
無償化からの除外自体が『児童の権利に関する条約』における基本精神『児童の最善の利益』に違反する行為。日本は東京五輪をみすえ、多文化共生社会の発展と高々にうたっているが、完全なる差別だ。
日本政府には今一度、日本社会に暮らすすべての子どもたちの、最善の利益や権利が保障されていくための幼児教育・保育制度のあり方をしっかりと考えてほしい。記者の皆さんにも関心を持ってほしい」
質疑応答のなかで、幼保無償化に関するブラジル学校の現状を説明した滋賀県立大学の河かおる准教授は、
「滋賀県や東海地方のブラジル学校系の保育施設には、認可外保育施設として運営されている所もたくさんあるが、認可外保育施設に無償化が認められ、より条件を整えている各種学校の施設が除外される矛盾した状況が起きている」と説明した。