「朝鮮幼稚園はずしにNO！」日比谷で１１．２緊急集会

by riae · 公開済み 2019年11月5日 · 更新済み 2019年11月7日

　「朝鮮幼稚園はずしにNO！　すべての幼児に教育・保育の権利を１１．２全国集会」が東京・日比谷野外音楽堂にて行われ、関東を中心とした日本各地から５５００人の同胞、日本市民が駆けつけた。会場は、日本各地の朝鮮幼稚園から寄せられた横断幕、差別を許さないという同胞、支援者たちの思いが表現された色とりどりな手作りプラカードで溢れていた。

　はじめに、総聯中央の南昇祐副議長（「幼保無償化」中央対策委員会委員長）が報告。

　続いて平和フォーラムの藤本泰成共同代表が連帯のあいさつに立った。
　藤本泰成共同代表は「安倍首相をはじめとする多くの政治家が日本と朝鮮半島の歴史を学ぶべき。韓国を罵り、朝鮮を侮蔑し、日本の将来はどうなるのか。朝鮮半島を見下して日本社会は豊かな未来を実現できるのか。高校無償化から除外し、今はまた幼保無償化から小さな子どもたちを除外している。国際社会からは非難されている。なぜ日本社会に対立、差別を持ち込むのか。在日朝鮮人がなぜ日本社会にいるのか、どうして文化が継承されなくてはいけないのか。日本が犯した植民地政策について学ばなければ政治家としての資格はない」として、現在の差別政策を強く批判した。

　朝鮮の海外同胞援護委員会から送られたメッセージが朗読されたあと、来賓のあいさつがあった。
　立憲民主党の初鹿明博衆議院議員は、「幼保無償化の財源は消費税だ。みんなが負担している消費税を財源にして、どうしてもらえる人ともらえない人を作るのか。待機児童対策のために認可外保育施設にまで門戸を広げておいて、各種学校や幼稚園類似施設は対象外になっている。何度聞いても理解できない。政府は、自治体が認めた施設には一定の補助を検討するというようなことを言っているが、それよりもまず制度として、一部の人のみを排斥しないものを作る必要がある」と話した。

　共産党の宮本徹衆議院議員は、「安倍首相は先月の国会の所信表明で、『今月３～５歳のすべての子どもたちの幼児教育・保育の無償化が始まった』と言った。まったくの大ウソじゃないか！　朝鮮学校以外にも、幼稚園類似施設の中で、すでに運営が苦しかったり廃園の危機に瀕している施設が出てきた。国の政策で進めているのだから国が責任を持って保障するのが当たり前ではないか。他の各種学校、幼稚園類似施設とも手を取り、この運動を大きく広げていこう。来年４月にはすべての子どもたちが対象になるよう頑張っていきたい」と決意をのべた。

　社民党の福島瑞穂参議院議員は開口一番、「一緒に、本当にこの政治を変えていきましょう」と発言。「あらゆる場面で差別、排除が日常的に行われている、状況が前よりもひどくなっていることに怒りを感じる。日本の政治のど真ん中が民族へのヘイトクライムを助長、拡大している。根源である政治の姿勢そのものを変えていきたいと思っている。一緒に権利を勝ち取るために心からの連帯を伝えます」と参加者たちへエールを送った。

　京都造形芸術大学の寺脇研教授（元・文科省大臣官房審議官）は、「１９８７年の１０月に重大な閣議決定が行われている。これからの日本は生涯学習社会を目指すと決定したものだ。これは、この社会に暮らすすべての人々が生涯にわたって学ぶ権利を保障していこうとの取り決め。しかし安倍政権になって、いつでもだれでもどこでも学べるという理念がなくなってきたように思う。幼稚園で学ぼうが各種学校で学ぼうが、それが保障されなければいけない。大方の日本人には保障されていることが多いでしょう。でも自分が保障されているからと言って同じ社会の中に学びが保障されていない人がいるというのは、自分にとっても満足がいかないことだという意識を伝えていきたい」とのべた。

　公明党　荒川区議会の保坂正仁議員（日朝友好促進東京議員連盟共同代表）は、「議員連盟の代表として一言のべたい」と前置きし、「どの国の子どもであれ、どの国籍の子どもであれ、未来を担う子どもを育てることは大人たちの責任。すべての子どもは未来の宝だからである。制度から漏れてしまった子どもたちがいたら、なんとか救おうと努力するのが政治ではないか。理念と真逆の政策とは断固戦わなくてはいけない。日朝議連は超党派の地方議員数百名が心から皆さんのことを全力で応援している。ともに闘おう」と話した。

　あいさつが終わると、舞台上には関東地方の朝鮮幼稚園保護者が登場。

　「でたらめな政策の中で私たちの教育が名指しで排除された。差別されていい子は一人もいません。これ以上傷つけられないために声を上げ続けていきたい」
　「この間の活動によって、小さな一歩かもしれないが、少しずつ大きな一歩へと変わってきていると感じる。大好きなユチバン（幼稚班）をこの手で守っていかなければならない」
　「みんなちがってみんないい－。３年前、ユチバンの学芸会で子どもたちがうたった歌。感動した。しかし、いま差別されている状況を見ると悲しい。この子たちが差別を受ける理由はなに一つない。朝鮮人としての誇りを持てるのはウリユチバンしかない」…
オモニたちがそれぞれに思いを語った。

　この日、会場にはたくさんの朝鮮幼稚園園児たちの姿も。「みんな、そろそろ身体を動かしたくなったかな？」との呼びかけで音楽が流れると、舞台上には地域の同胞ゆるキャラとたくさんの子どもたちが。笑顔で踊る子どもたちの純粋な姿に、涙をぬぐう参加者も少なくなかった。

　その後、引き続き各方面から連帯のメッセージが。

　在日本朝鮮青年商工会からは、朝鮮幼稚園に子どもを送る会員たちが参加。代表らは、１１月１日に関係府省へ要請に行ったことを報告。職員の不誠実な対応についてのべ、「あなたたちは子どもたちの姿を見たことがあるのか？　行ってみて下さい。そうすればあなたたちの気持ちも変わるでしょう」と強く呼びかけた。

　集会では最後に、すべての参加者の総意で要請文を採決。
１．各種学校の幼児教育・保育施設を含め、すべての幼児教育を無償化の対象とすること。朝鮮学園付属幼稚班を無償化の対象とすること。そのため、制度の見直しを進めること。
２．各種学校の幼児教育・保育施設の保育料無償化のために、国及び地方自治体による財政的措置を講じること。
－を求めた。明日、１１月６日にこの要請文を持って関係府省への要請行動が実施される予定だ。

　集会のあと、約１時間のパレードが行われた。