東京朝高サッカー部、選手権予選で5年連続ベスト4
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11月10日、第98回全国高校サッカー選手権東京都予選のBブロック準決勝が西が丘サッカー場で行われた。5年連続で選手権東京都予選準決勝に進出した東京朝鮮中高級学校サッカー部は、22年ぶりの決勝進出を懸け、東海大高輪台高校と対戦した。
夏のインターハイ東京都予選では、1次トーナメントで敗退した東京朝高。周囲からは、「今年の朝高は強くない」「タレントがいない」とささやかれていた。
「インターハイ敗退後、強豪校と積極的に試合を組み、夏には、10人を超える選手たちが朝鮮で行われた選手育成を目的とした代表選考試合・強化訓練に参加した。個々のレベルアップを図った」(姜宗鎭監督、45)
「1年間、『모두로』(みんなで)をスローガンに、練習、試合前後にチームでミーティングを頻繁に行った。選手間のコミュニケーション、意識の共有を図り、団結力を鍛えてきた」(呉太陽選手、高3、主将)
東京朝高は、4年連続準決勝敗退という雪辱を晴らすため、そして悲願の選手権出場へ、トレーニング、試合を積み重ねてきた。
選手権1回戦・VS都立駒場高校(0-0、PK 4-3)、2回戦・VS都立東大和高校(1-0)に勝利した東京朝高は、続く準々決勝で夏のインターハイ出場校の大成高校と対戦した。セットプレーから決めた値千金の1点を守りきり、1-0で勝利。準決勝へと駒を進め、当初の下馬評を覆す躍進を見せた。
準決勝の試合前、姜監督は「今までやってきたことを出し切っていこう。感謝の気持ちを忘れず、自信を持ってこの舞台を楽しんで、堂々と戦おう」と鼓舞しながら選手たちをピッチに送った。
試合前半、今大会無失点を誇る東京朝高のディフェンスがうまく機能する。相手の攻撃が続く時間帯でもディフェンスがしっかりと対応。両者一進一退の攻防を繰り返し、0-0で前半を折り返した。
しかし、東京朝高は後半開始早々、相手左サイドのロングスローから試合の均衡を破るヘディングシュートを決められ、失点を許す。ここで立て直したい東京朝高だったが、同14分にも追加点を許し、2点を追う状況に。幾度のチャンスに恵まれたものの、ゴールネットを揺らすことができず、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。東京朝高は0-2で準決勝敗退となった。
試合終了後、姜監督は「相手の長所を出させないサッカーをしていたが、奪ったボールをしっかりつなげることができなかった。なんとしてでも先制点がほしかった」と話した。
「2年間、スタンドで応援していた。今年こそはこの舞台で勝ちたいとずっと思っていた」と話すのは、主将の呉太陽選手だ。昨年の7月に膝の前十字じん帯断裂の怪我を負った呉選手。今年の3月に復帰するも、3月末にはまたしても怪我をしてしまい、再度復帰したのは選手権予選が始まる直前だった。「怪我に悩まされた3年間だった」という。
「怪我の期間、キャプテンとして選手たちのサポートはできたけど、プレーでは何もできなかった。1年間、苦しいシーズンを送り、迷惑をかけたチームに貢献したい、恩返ししたいという思いで臨んだ選手権だった」と呉選手は話す。呉選手は、「タレントもスーパースターもいないなか、この舞台に立てたのは、部員68人が一つになれたからだと思う。チームメイトがお互いを信じて支えあってきた。1年間やってきたことは決して無駄ではなかった。後輩たちにはこの悔しさを忘れずに、日々のトレーニングに励んでほしい」と悔しさをにじませた。
5年連続、選手権都予選ベスト4の結果となった東京朝高。「西が丘の壁」を超えることはできなかったが、ピッチで全力でプレーする選手たち、スタンドで声をからして応援するメンバー外の選手たちの姿は同胞たちに力を与えてくれた。(全)