東京中高でキャンドルナイト
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東京朝鮮中高級学校連合同窓会が主催するコンサート「キャンドルナイト」が11月21日、同校内の東京朝鮮文化会館で行われ、同校卒業生で歌手の宋知香、全詠玉、盧華順さんがのびやかな歌声で生徒たちをわかせた。
夕方17時半。キャンドルを手に持った生徒たちが会場へ。保護者たちを含め約500人がコンサート会場を訪れた。
シルバーの渋めのチョゴリで登場した歌手の盧華順さんが「もっと舞台に近寄って」と促すと、舞台に続々と寄ってくる生徒たち。
トップバッターは歌手の宋知香さん(朝鮮大学校研究院で音楽療法を専攻)で、ロック調にアレンジした朝鮮の歌謡曲「フィッパラム(口笛)」をギターの弾き語りで歌いあげた。 「まちがいさがし」「가장 늦은 통일을 가장 멋진 통일로(一番遅い統一を一番かっこいい統一に)」など朝鮮半島の南北、日本の歌謡曲を披露した宋さん、歌で民族教育の発展や統一への願いを伝えたいという思いは、「朝高3年間の日々に培われました」という。
学生時代はバレーボール部だった話、その頃は寄りつけなかった食堂だったが、コンサートの日は、「炊き込みご飯とトン汁が食べられて嬉しかった」との逸話にも会場が和む。ドラム担当の金基天さんは神戸の朝鮮学校出身。宋さんと同じく、「食堂の料理が最高だった」と感想を語っていた。
ピンクの華やかなドレスに身を包んだオペラ歌手の全詠玉さんが舞台に登場すると、会場からため息が漏れた。全さんは、「皆さん、オペラを聴いたことがありますか?」と声をかけた後、プッチーニ作曲の「私が街を歩くとき」(オペラ「ラ・ボエーム」より)、「Time to say good bye」を全身全霊をこめて披露。
人間の声で、どこまで表現できるのかを試してみたくて声楽の道に進んだという全さんは、朝高を卒業後、国立音楽大学、同大学大学院に進み、第42回イタリア声楽コンコルソにてイタリア大使杯を受賞するなど、オペラ歌手として活躍している。
学生時代、合唱部だった全さんは、「(競演大会の)優秀作品の発表でうたった以来、このステージに立ちます」と笑顔を見せ、全さんの伴奏に立ったヴァイオリン奏者のソンイルさんは「チャールダーシュ」を披露、弦を自由自在に操る技巧に、生徒たちは目を丸くしていた。
シンガーソングライターとしても活躍する歌手の盧華順さんは、アラジンのテーマソング「a whole new world」、「風笛」「아름다운 나라(美しい国)」をのびやかにうたいあげ、最後は出演者が一堂に舞台にあがり、「アリラン」を合唱した。
同校の連合同窓会では、2年前からチャンヘンさんのパフォーマンスや、きむぎがんさんの一人芝居「在日バイタルチェック」など、生徒たちのための文化イベントを企画してきた。
あいさつに立った洪竜守会長は、高校無償化裁判をたたかってきた生徒たちを称えながら、「勝利の日まで戦いぬこう」と、いつもの通る声で後輩たちを元気いっぱいに励ました。
出演した女性歌手たちも、後輩たちが音楽を楽しむ姿に、大きな喜びを感じていた。
宋知香さんは、「私自身、朝鮮の民謡や日本の歌謡曲、南の歌を自然に歌ってきたので、生徒たちにも聞かせてあげたかった」と語る。
キャンドルを揺らしたり、歓声をあげながら、3人の女性歌手の歌声を楽しむ生徒たち。ささやかな癒しの時間が会場に流れていたように思う。
同校高級部2年のコ・チサさんは、「部活のことで悩んでいたけど、一生懸命にうたってくれる先輩たちを見て、人のせいにしないで、もっとがんばらないとと思いました」と清々しい表情を見せてくれた。(瑛)