「5.18 ヒンツペーターストーリー」
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日本でも一昨年の2018年に公開されヒットした韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」。ソン・ガンホさん演じる主人公のタクシー運転手とともに民主化闘争で揺れる1980年5月の光州に潜入して現地の実情を世界に知らせたドイツ人ジャーナリストの実在のモデルだったユルゲン・ヒンツペーターさん(2016年死去)が当時、現地で実際に撮影した映像を基に韓国で製作されたドキュメンタリー「5.18 ヒンツペーターストーリー」(チャン・ヨンジュ監督、2018年)をこのたび、試写会で観る機会があった。
チャン監督はKBSのプロデューサー。監督による生前のヒンツペーターさんとのインタビューや、当時、市民軍に参加した人びと、記事を差し止められた光州の記者らの回想、そしてヒンツペーターさんが撮影した映像とともに1980年5月の光州民衆抗争が描かれる。本作では、映画「タクシー運転手」の主人公のモデルとなったキム・サボクさんの息子やヒンツペーター夫人とのインタビューもみることができる。通信が遮断され、言論統制によって現地の弾圧の惨状が徹底的に隠されていたその時、危険をおして現地入りしたヒンツペーターさんのジャーナリストとしての崇高な使命感や、映画「タクシー運転手」の公開を機に息子さんが名乗り出たことによって明らかになった実際のキム・サボクさんの姿がよくわかる。
チャン監督は、「5.18」の報道におけるヒンツペーターさんの功績について次のように話している。
「当時、光州民主化運動の期間に光州で取材した記者はたくさんいました。多くの記者の中でもヒンツペーター記者の取材は一番大きな意味がありました。多くの記者は光州民主化運動の後半に始めて光州に入りましたが、その頃ヒンツペーターはすでに撮影を終えて光州を出ており、ニュースを外部に搬出してスクープしました。民主化運動の期間に3回も光州に行きました」
https://sites.google.com/view/kmoviesc/
「5.18ヒンツペーターストーリー」の東京特別上映会が2月15日18時30分からなかのZERO小ホールで行われる。上映後にチャン・ヨンジュ監督のトークもある。
上映時間は94分 (日本語字幕)で、入場料は一般1,500円(障害者・学生 1,000円)となっている。
全席自由席で、完売になり次第チケットの受付は締め切られる。
詳細は以下のURLから。
https://sites.google.com/view/kmoviesc/
5.18から40年という節目の年に、このような良質なドキュメンタリーを劇場のスクリーンで観ることができる意義は大きい。(相)