続・料理はギャンブルだ
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昨年7月にこのブログで「料理はギャンブルだ」と書いた。それでも自炊を続けるうちにいつしか半年以上が過ぎた。未だに手際は悪いが慣れてきた実感はある。
まず、当初は欠かさず使っていた計量スプーンをとる頻度が減った。毎日なんども持っていたためスプーンの大きさを覚えてきたのだ。現在とりあえず大さじはほぼ使わず、不安なときは目で大きさを確認して見当をつけ、そのまま調味料を入れている。
考えてみるとなんだか補助輪のようである。はじめはそれが無いと自転車に乗れないが、あるとき補助輪なしでも乗れることに気がつく。もしくは、訓練によって、同じくそれが無くても計算ができるようになっていくそろばん。
調味料の分量もはじめは計量スプーンが無いと全くイメージが湧かないが、使い続けるうちにいつの間にか感覚を会得している。計量スプーンはただ分量をはかるための器具ではなくて、人々に“大さじ”といった概念を与えるための補助器具という側面もあるのではないか…。
他に、味の想像がつくようになったことも慣れてきたなと実感した理由の一つである。例えばレシピを見たときに(この調味料の組み合わせだったら“あの”味になるな)と大体は浮かぶようになった。醤油、味噌、塩など単体の味は分かっていても、それらが調合されたらどのような仕上がりになるかは自分が作って食べてみないとインプットされない。色々と作ってみるうち、少しずつ味のデータがたまってきた。
また、レシピにコントロールされるのではなく考えて活用できるようになってきた。書かれている材料の量と冷蔵庫に残っている分が違っても調整したり、別の材料で代用したり、時短のため調理方法を変えたり…。これにより自宅のキッチン環境に沿って作業できるようになったし、初期に経験した「塩コショウを振ったのになぜか味が皆無」というような謎現象も起こらなくなった。
これらの経験から、最近は料理におけるギャンブル性がだいぶ低くなってきたと感じていた矢先、思いもよらないところに落とし穴があった。
「そら豆とエビの塩炒め」という料理を作ろうとした日のこと。レシピを見つけた時に(これは!)と思い、さっそくサヤつきのそら豆を買った。ズボラな私にとって下処理が必要な材料を買うことは結構なチャレンジである。だがそれを上回る「食べたい」があった。やり方をネットで検索し、いざ!とサヤを開くと…
これだけ?
大きなサヤにたったのひと粒である。それもこのサヤだけでなく、まあまあな数の中身がこのような状態だった。(Amazonの梱包か!)というツッコミが頭をよぎる。全体から想定した収穫数の3分の1ほどになった。ふわっふわな内側に大事にしまわれたひと粒。ショックのあまりそっとサヤを閉じ、ビフォーアフターの写真まで撮ってしまった。
ひと段落すると(やっぱり料理はギャンブルだな!)と笑えてきた。もともと面倒臭がりで飽きっぽい私が楽しく料理を続けられているのは恐らく、ときどきこうした驚きや刺激をもらえるからである。子どもが新しいものを吸収していくような感覚で日々料理をしている。(理)
【おまけ】ここ最近つくったものをアップしたい。
・オムライス。粗みじん切りにした新玉ねぎと小さめに切ったウインナーをバターで炒め、ケチャップを大さじ3くらい混ぜたところにご飯を投入しケチャップライスに。器に移し、卵を焼いて被せる。
感想:味は普通に美味しかったが、「オム」部分の見た目がなんか違う。
・菜の花とベーコンの卵炒め。菜の花を軽く茹で、ベーコンと一緒に炒める。味つけは塩コショウ。マヨネーズを混ぜて溶いておいた卵を流し入れ、木べらで大きくかき混ぜる。いい具合に熱が通ったら全体的に混ぜて取り出す。
感想:菜の花を使ったレシピに挑戦してみたかった。独特の苦みが美味しい。卵と一緒に炒めたらだいたい美味しくなる。
・「鍋つゆ一番」の鍋。美味しそうな鍋つゆがあったので裏に書かれていた表示通りに作ったもの。材料は豆苗、もやし、豚バラ肉のみ。鍋に入れ、「鍋つゆ一番」をかけて(スライスにんにくや鷹の爪はすべて入っている)火にかけるだけ。
感想:鍋って簡単。
・タコとポテトのガーリック炒め。…を作りたかったのだが、じゃがいもの代わりに冷凍庫にあったアンパンマンポテトを解凍して炒めたら中途半端に水分が含まれていたのかボロボロになった。
感想:変にアレンジしなければよかった。味もよく分からない。アンパンマンポテトの原型が失われ切ない。
・チャパグリ。映画「パラサイト」で登場した即席料理で、韓国のインスタント麺「チャパゲティ」と「ノグリ」を茹で合わせ、仕上げに牛肉と一緒に炒めたもの。ネットで検索すると作り方がたくさんヒットする。
感想:そもそも「チャパゲティ」も「ノグリ」も単体で食べたことがなく正解の味が分からないが、癖になる美味しさ。
これ以外にも即席チキン南蛮、ドライカレー、鶏チリ(エビチリのエビを鶏肉に代えたもの)、ポテトサラダ、煮込みハンバーグ、人参しりしりなど、ネットや本から日常的にレシピを見つけてきてはちまちまと実践に励んでいる。