新型コロナウイルスよりもっと怖いもの
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新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るっている。新型ウイルスは確かに怖い。しかし、ことここにいたってもまともな対策を立てずにいるこの国の為政者のほうがもっと怖い。ここ最近の日本政府および与党のCOVID-19対策と関連する動きを見ていてそう思う。
諸外国は「感染拡大を防ぐために外出は控えてもらいたい。その代わりに一定の金額は補償する」というスタンスだが、日本は、これまでを見る限り、「外出や経済活動を自粛せよ。しかし減った収入についての補償はしない」というもの。与党自民党の経済対策提言の検討内容として「お肉券」や「お魚券」のたぐいがあがる始末だ。そして、昨日4月1日に開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部で安倍首相が明らかにしたのが、日本全国すべての世帯に対して布マスク2枚を配布すること。やっと出てきた対策が布マスク2枚(それも、個人ではなく世帯に2つ)。わざわざ高い配送コストをかけて全世帯に布マスクを2枚配ってくれるより、普通に街中のコンビニやドラッグストアで定価で買えるようにしてほしい。「月産〇億枚」という見通しはどこにいったのか。新型コロナウイルスによる肺炎で死ぬか、経済で死ぬか、そんな二者択一などごめんだろう。
感染拡大対策の一環として検討されている現金一律給付について、与党・自民党の小野田紀美参議院議員から以下のような発言もあった。
「マイナンバーは住民票を持つ外国人も持っているので、マイナンバー=給付は問題が生じる」
https://twitter.com/onoda_kimi/status/1244619519944867841?s=20
「一律現金給付等は当然国民に限るよう徹底する旨も要望した」
https://twitter.com/onoda_kimi/status/1244617686744625152?s=20
新型ウイルス対策に携わる与党の国会議員からこのような悪質な発言が出ていることについて、「またいつものこと」とあきれたりするのではなく、もっと深刻に考えて問題視すべきだろう。
そして、さらに驚いたのが東京五輪の延期の決定をめぐる舞台裏だ。
https://www.asahi.com/articles/ASN306X98N30UTQP01N.html
上記リンク先の朝日新聞の記事によると、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長との電話会談の直前に大会組織委員会の森喜朗会長と安倍首相が会談した席上、安倍首相が1年程度の延期を提案した。森会長は新型コロナウイルスの感染拡大を念頭に置いて「2年延長したほうがいいのではないか」とのべると、安倍首相は「日本の技術力は落ちていない。ワクチンができる、大丈夫だ」と応じたという。「これでいい。1年でいいんだ」と言う首相を見て、森会長は「総理は21年に賭けたんだ」と感じたのだという。来夏になっても感染が終息しない場合、五輪の再延期や中止もありうるという懸念に対して森会長は、「今はそういうことは考えたくない。賭けたんだよ、21年に」と語っている。確たる根拠や展望もなしに、神頼みのように五輪開催をおし進める姿勢には恐怖しか感じない。
大規模災害などの危機や緊急時に真っ先に切り捨てられるのは外国籍の住民など立場の弱いマイノリティというのはこれまでの歴史が証明している。COVID-19によってではなく、この国の政治によって殺されるのではないか―。冗談ではなく、本気でそう恐れている。(相)