ALL民族教育の力で
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日本各地の朝鮮学校で、オンライン授業が活発に実施されている。イオ編集部では現在、授業を作る側・受ける側への取材を進めている。月刊イオ7月号で、取り組みの経験や感想を紹介する予定だ。
昨日は、朝鮮学校にオンライン授業を取り入れた経緯について話を聞いてきた。実施の必要性が話されたのは3月末、日本政府が全国に発していた臨時休校要請を延長すると決めた頃からだったという。準備期間もノウハウも少なかったが、「なによりも子どもたちの学ぶ機会を作ろう」「ほんの少しでもできることを前に進めよう」と、対策担当者たちで話し合いを重ねた。
はじめは実験的に、特定の朝鮮学校で撮影した45分授業をそのままシェアしたらどうかとの意見も。しかしやってみたところ、「大人でも最後まで見ることができなかった」。子どもたちがプリントに記入する時間など待ち時間が多く、集中力が途切れてしまう。
そこで授業の内容を10〜15分に凝縮し配信することに。オンライン授業を作り編集するのは一つの学校の教員ではない。科目ごとの分科長が日本各地の朝鮮学校に連絡し、交代で授業を作っている。
10〜15分ほどの授業と聞いて、依頼する側も作る側も、当初は比較的かんたんにできるものだと考えていたそう。しかし本来45分の授業内容を短くまとめ、適切な掲示物などを用意し、さらに撮影後には編集も受け持つ。数時間はかかる作業で、想像以上に大変だった。
「一つの学校だったら絶対にできないことだった。力を合わせるから実現できる。ALL民族教育の力だと言える」、担当者の一人はこう話していた。朝鮮学校は一律で同じカリキュラム。同じ教科書を使っていることも利点だった。
現在、統一的に配信されているのは初級部の国語(朝鮮語)、算数、日本語と中高級部の国語、数学、英語、日本語。日々、改善点や課題も共有され、日を追うごとに内容が充実してきている。中高級部の日本語も、始めた当初は実施していなかった科目だ。
また、オンライン授業を始めたことによって、各朝鮮学校独自の新たな取り組みも次々と生まれている。配信されている授業を利用しつつ体育や音楽といった他の科目はzoomで補う学校、オンラインでクラブ活動やホームルームを毎日行う学校…。創造性、発想力、実行力、そして団結力。試行錯誤ながらここまで幅広く取り組んでいることに驚いた。引き続き取材に励みたい。(理)