朝鮮での思い出の味
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4年前の大学4年の夏、希望制の専攻講習を受けに朝鮮を訪問した際、イオ6月号の「朝鮮で一杯」で紹介された元山の「ハルモニ食堂」を訪れた。すごく印象に残っているお店だ。
このお店で、特別なエピソードがあったわけではないが、この日、朝から宿所近くの海で遊び、金剛山に登った。登山中は大雨に見舞われずぶぬれになり、海金剛で弁当を食べた後、また海で遊んだ。海、雨、汗、湿気、潮風で全身はベタベタ。体力を使い果たし最後に訪れたのが「ハルモニ食堂」だった。
前日は、午前・午後みっちり講義を受けた後、平壌を出発。また、毎日の課題(小説を読んでは分析、映画を観ては分析、そして、作品創作)をこなすために寝不足が続いていたこともあり、この日の疲労感は半端じゃなかったことを覚えている。
お店に入り、料理が来る前は、ほとんど放心状態だった。写真を見返すと、みんな笑えてないし顔色も悪い(笑)。イオで紹介された鯛スープなどは出なかったが、この日のメニューは焼肉(しかも牛肉!)で、本当に涙が出そうなくらい美味しかった。松茸やキムチなども本当に美味しくて、みんなもすっかりハイテンションになっていた。(そして宿所に戻り、しっかり二次会まで行った)。
体が疲れていたこともあっただろうが、朝鮮でこれほど感動しながらごはんを食べたのは、この店が初めてだったかもしれない(笑)。
このような思い出があり、「ハルモニ食堂」は、私の中で「ベスト・オブ・幻の名店in朝鮮」にノミネートされているのだ。
毎年暑くなってくると、玉流館の平壌冷麺が恋しくなる。そういえば、平壌ホテルの食堂で小鍋で出てくるスープが美味しくて、毎日おかわりしてたことも思い出した。食後のティータイムに飲んだオミジャ茶も楽しみの一つだった。大学3年の朝鮮訪問時に地方で食べた、噛み切れないジャガイモ麺も癖になるおいしさだったし、講習所の朝食のパンも素朴で大好きだった。大同江ビールも飲みたい!!
在宅ワークが続き、体を動かしていないせいか、何を食べても美味しいと感じなくなってきた。食べたいものすら浮かばないのだが、ふと朝鮮の思い出の味が恋しくなった。(蘭)