新連載「コロナSOS」vol.1
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新型コロナウイルス感染拡大は、暮らしに深刻な影響をもたらしています。生活安定に向けた行政の支援策や助成金について専門家に解説いただきます。(編集部)
Q1 特別定額給付金、申請のポイントを教えて
5月末から日本全国の地方自治体から世帯主宛に申請書が発送され、郵送による申請の受付が始まっています。
申請に必要なのは、①申請書、②給付金の振込先口座確認書類(通帳の写し)、③申請人の本人確認書類の3つです。申請人は世帯主で、世帯主が同居家族(住民票上、同一世帯となっている者)全員分を申請します。例えば、夫婦と子2人の4人家族の場合、世帯主の夫(妻)が4人分を申請し、世帯主名義の口座に4人分が一括して振り込まれます。
申請書には、世帯主と同居家族の姓名、生年月日、世帯主との続柄が印字されています。住民基本台帳に通称名(日本名)を登録している同胞の場合、姓名が通称名で印字されているようです。同胞の中には、通称名はあるものの実生活では使用していない人も多く、預貯金口座も民族名で、顔写真付きの本人確認書類として通称名の記載されていない特別永住者証明書や在留カードを用いている人も少なくありません。申請書に印字された通称名と、添付する預貯金口座や本人確認書類の名前が異なる場合、地方自治体によってその対応の仕方に違いはあるようですが、できれば運転免許証ではなく特別永住者証明書や在留カードの写しと、申請書に印字された通称名の横に民族名を手書きで記載するのがよいでしょう。埼玉県のある市では、受付時に住民基本台帳で確認するため、預貯金口座や確認書類の名前が民族名であっても大丈夫とのことでした。
申請書には給付金を希望するかどうかを確認する欄があり、うっかり「希望しない」にチェックをすると、給付金は振り込まれないので注意が必要です。申請は受付開始日から3か月以内にしなければなりません。(金静寅/同胞法律・生活センター)
※配偶者や親族からの暴力等を理由に住所地以外の場所に避難している方で、一定の要件を満たす場合、申請期間中であれば居住地の役場に申し出ることにより居住地で給付金を受け取ることができます。最寄りの市町村役場に問い合わせてください。
参考:総務省 申請方法に関するよくある質問 https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/faq/
Q2 コロナの影響で親の収入が激減し、学費の工面ができません。どうすればいいですか?
日本最大の奨学機関である日本学生支援機構(JASSO)は2020年4月から住民税非課税世帯・準ずる世帯の学生を対象に高等教育修学支援新制度(授業料・入学料の免除・減免と、返済義務のない「給付型奨学金」の支給)を導入しました。申込は年2回とされていましたが、家計急変の特例として申込は随時(急変事由の発生後3ヵ月以内に申込)、所得基準も家計が急変した1ヵ月程度の所得で判定するなど、制度の利用基準が大幅に緩和されました。また、返済義務のある「貸与型奨学金」の基準も大幅に緩和されています。
※JASSOの対象学校種は日本の大学・専門学校等となっています。(金範重・朝鮮奨学会)
Q3 コロナの影響でアルバイトができなくなり、生活が苦しいです。何か支援はありませんか?
日本政府は大学・専門学校等(日本語教育機関含む)で学ぶ学生(留学生含む)であって、新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入が減少した学生を対象に、最大20万円を支給する「学生支援緊急給付金」を創設しました。「家庭から自立してアルバイト収入で学費を賄っていること」「アルバイト収入が50%減少していること」といった要件があげられていますが、最終的な判断はこの制度の取扱窓口である大学が「修学の継続が困難であると認めた場合」に支給対象となります。(金範重・朝鮮奨学会)
※「学生支援緊急給付金」は、朝鮮大学校が対象外となっていることや、外国人留学生のみ「学業成績が優秀な者であること」との要件が課されるなど、多くの問題点が指摘されています。(月刊イオ2020年7月号47pに関連記事)