新型コロナと同胞企業経営~朝鮮商工新聞の座談会から
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新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。東京は7月13日にコロナ感染者が新たに119人と、5日ぶりに200人を下回りましたが、予断を許さぬ状況に対応を急ぐ職場や学校も多いと思います。私もその一人です。
そんななか、示唆に富む記事を、朝鮮商工新聞7月7・21日合併号に見つけました。
同胞税理士、焼肉店経営者、朝鮮大学校経営学部の学部長、商工会理事長ら4人による、紙面座談会「新型コロナと日本経済、同胞企業経営を考える」です。
座談会は全3ページが割かれ、読み応えがありました。
コロナ禍は全世界に及んでおり、世界銀行の見立てでは、第2波が訪れ、影響が大きくなればGDP成長率がマイナス8%になる、今回のコロナ禍は1930年代の大恐慌以来の危機で、2008年のリーマンショックをはるかに上回るとの警鐘に、自身の危機感の「ぬるさ」を実感させられます。
そして、コロナの感染拡大による休業要請により、在日同胞の3大事業といえる飲食、宿泊、娯楽が全体的に厳しい状況にあることが俯瞰されます。
「いずれも『V字回復』は論外で、『U字』でも『L字』でもなく、なだらかな回復基調というのが大方の見方」(呉圭哲税理士)。さらに飲食業界でいえば、居酒屋業界は全滅状態に置かれている一方、焼肉が根強い人気を誇っている、大阪では休業要請で休んでいる同胞のお店を日替わりでテイクアウトし、さらにその商品をフェイスブックに乗せて応援する動きも出ているという話も紹介されます。ネットワークの底力が見直されているという心温まる話でした。
同胞たちが生きていくうえで必須の、仕事、そしてビジネス。
アフターコロナ、経済環境の「劇的変化」を見据えて、同胞たちがどのように生計を立てていけばいいのか。経済が安定しなければ、現在ある同胞社会はそのままの姿ではいられません。
誌面座談会には、今後を設計するうえでヒントが散りばめられていましたが、趙栄来・朝大経営学部学部長の言葉が印象的でした。
…
いま求められているのは、自社の強みをコアに何をすべきかを考え抜くことだと思います…
…非対面・非接触経済領域が拡大するアフターコロナにおけるビジネス変革のキーワードに「無・減・代」がある。「無くなるもの・無くすべきもの・減るもの・減らすべきもの」に代わるモノやサービス、事業を構想する―。
趙経営学部長は、焼肉業界の次の業態として、「医療部門において医食同源をコンセプトにしたヘルスケア部門での商品開発や事業化プロジェクトといった可能性も模索できるのではないか?」、またシニアミドルをターゲットにしたメガネスーパーが、この世代のニーズをすくい「買い物代行」に取り組んだ結果、業績を逆転させたエピソードを紹介しています。アイデアに触れるだけでも、新しいことにトライすることが喫緊だと感じました。
「社会が『分散』するなかで同胞社会の『連帯』が一層、重要になってくる」、という指摘は、イオの今後を考えるうえでも、ずしりと来る言葉でした。
今後も、「時代を読む」情報に触れ、考え、実践していきたいと思います。(瑛)