オンライン学習会「大阪・朝鮮学校の闘い、10年を振りかえる」
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朝鮮高級学校無償化連絡会・大阪のオンライン学習会・リレートーク「大阪・朝鮮学校の闘い、10年を振りかえる」が7月28日に行われた。
大阪府・大阪市の補助金停止、高校無償化制度からの排除という行政の差別に対し、民族教育の権利を訴えてきた大阪での裁判闘争は、昨年8月27日、最高裁の無償化裁判上告棄却で敗訴が確定した。
大阪の裁判闘争は終結したが、3つの地域で高校無償化裁判は続いている。その一方で朝鮮幼稚園への幼保無償化不適用、新型コロナウイルス感染症拡大の中での朝鮮大学校生への給付金支給除外など、朝鮮学校に対する差別政策は拡大し続けている。
大阪での朝鮮学校裁判を支援してきた朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪は、裁判の終結にあたって、裁判闘争の意義を共有しつつ、今後の運動の展望を切り開くことを目的に、今年3月に集会を予定していた。集会は新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態によって実施できずにいたが、今回、それに代わる新たな試みとしてオンラインによる連続学習会を開催することとなった。初回となる今回は、集会で予定していたトークセッションをオンラインで実施。関係者それぞれの立場でこの間の活動を振り返った。
リレートークには大阪朝鮮学園の玄英昭理事長、大阪朝高オモニ会の申麗順前副会長、城北ハッキョを支える会の大村和子代表、任真赫弁護士の4人が登場。コーディネーターを無償化連絡会・大阪の藤永壯共同代表が務めた。
「2015年2月に大阪の代表として文科省への要請行動に参加したことをきっかけにこの問題に深く関わるようになった。右も左もわからずとりあえず参加したが、そこで出会った支援者たちや文科省前の金曜行動に参加する朝大生の姿を見て、自分たちの学校の問題なのになぜ自分はこんなに呑気に構えていたのかと反省し、それから自らの問題として向き合っている」。申麗順さんは大阪朝高オモニ会の活動の写真を見せながら、この10年間を振り返った。
大村和子さんは、日本人支援者の立場から、大阪府庁前の火曜日行動について話した。「火曜日行動がこんなにも長く続くとは思っていなかった。この間、右派勢力の妨害にも遭った。差別、偏見に戻づく心ない暴言も吐かれた。でも、力強い仲間が大勢いる。裁判の結果はどうであれ、勝利のその日まで差別のない平等な社会を目指してたたかう勇気がわいている」。
2017年7月28日の歴史的な大阪地裁勝訴判決で「旗出し」を担当した任弁護士は勝訴判決の瞬間の光景を振り返りながら、法的側面から見た大阪地裁の勝訴判決の意義について、規定ハ削除が違法だと判断したこと、朝鮮学校の民族教育の重要性について朝鮮学校と総聯との歴史的な関係性にも踏み込んで判示したことなどを挙げた。
玄英昭理事長も地裁判決について、「社会、政治が右傾化している状況の中で勝訴の意義は大きい。司法が強大な行政権力の意向を忖度せず、公正な判決を下した」と評価。「無償化裁判も補助金裁判も敗訴したが、学園理事長として裁判をたたかってきたこの期間は非常に意義深い時間だった」とのべた。
オンラインで関係者の発言を聞きながら、過去の裁判取材の日々が思い出された。
以上は、リレートークでの発言のごく一部にすぎない。詳細は8月中旬発行のイオ9月号で。(相)