vol.34 「歴史の証人」を想う 殴られ、蹴られ、踏まれながらも
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私が最初に証言を聞いた元日本軍「慰安婦」は鄭書云さん(1924年―2004年)だった。新聞記者一年目の1995年、香川県でのことだ。
思えば「記憶」と「忘却」がせめぎ合う転換期だった。戦後補償裁判が次々と提起され、金学順さんをはじめとする当事者の声が河野談話を引き出した。
一方で、「選良」の歴史改竄発言が相次ぎ、欺瞞の産物「アジア女性基金」が始まる。「解決」と称する政治的プロジェクトが、被害当事者の思いを置き去りにしていく起点である。
その渦中で、証言者として来日した一人が鄭さんである…。(続きは月刊イオ2020年10 月号に掲載)
写真:中山和弘
なかむら・いるそん●1969年、大阪府生まれ。立命館大学卒業。1995年毎日新聞社に入社。現在フリー。著書に「声を刻む 在日無年金訴訟をめぐる人々」(インパクト出版会)、「ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して」(岩波書店)、「ルポ思想としての朝鮮籍」(岩波書店)などがある。『ヒューマンライツ』(部落解放・人権研究所)の「映画を通して考える『もう一つの世界』」を連載中。