【イオ ニュース PICK UP】民族教育のさらなる発展へのスタートに/東京第3初級 新校舎竣工式
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2019年12月に完成した東京朝鮮第3初級学校の新校舎竣工式が10月11日、同校で行われた。
総聯中央の朴久好第1副議長、宋根学副議長兼教育局長、高徳羽総聯東京都本部委員長、金順彦・東京朝鮮学園理事長、李根俊・新校舎建設委員会委員長とはじめとする建設委員、同校の教職員、在校生代表、卒業生、保護者ら約100人が参加した。
竣工式に先立ち、校舎前で代表らによるテープカットが行われた。
式では、朴久好・総聯中央第1副議長が祝辞をのべた。第1副議長は、建設委員会が2018年より精力的に取り組んできた基金運動が実を結び、厳しい状況下で目標額を130%達成したことについて言及。東京第3初級を支える5つの学区(板橋、北、豊島、練馬、埼玉西部)の同胞の、学校と子どもたちへの愛が集結した、新校舎建設事業について、「長年の伝統を持つ東京第3初級をさらに発展させていく画期的な事業であり、同胞たちの民族愛、後代に対する愛により団結力を発揮した慶事」だと称えた。
その後、建設委員会が作成した映像が上映された。参加者たちは、歴代学校関係者のインタビューや、約10年にも及ぶ建設事業に取り組む建設委員たちの姿を見ながら目を潤ませていた。
続いて、李根俊建設委員長が事業報告を行った。以下に発言をまとめる。
本校は、2009年に校舎の耐震問題が緊要の課題として提起されて以降、諸問題により厳しい局面にあった。地域同胞たちの拠点である東京第3初級がなくなってしまうのではという不安と心配が同胞社会につのるなかで、2010年「懸案問題対策委員会」が発足し、25年前に校舎改修事業に携わった大先輩たちとともに懸案の解決策が模索され、みなの尽力により諸問題を一つずつクリアし、新校舎を新たに建てることが決まった。
仮校舎はどうするのか、資金はどのように集めるのか―議論を深めるほど次々と高い壁が立ちはだかり、一時は活動中断の危機にも追い込まれた。悶々とした日々が続くなか、若い世代の有志たちが立ち上がり、「하나가 열, 열이 백(一人が十人、十人が百人)」の方法で、学校と子どもたちへの熱い想いを広げていった。
10年に及ぶ長い年月のなかには、建設工事や基金集めが思うように進まず焦燥感が続いた時期もあったが、「今があるのは、いちばん辛い時期に踏ん張ってくれた1世がいたから」と、教育会歴代役員懇親会をもち、そこで先輩に教えをいただき、建設事業を前進させる強い流れを作っていった。不動産業に従事する若者たちは、専門知識と経験を活かし、学区5地域の担当者たちは、基金運動を必ず成し遂げるべく、日夜駆け回り各地の同胞たちに呼びかけた結果、2018年9月からはじまった基金運動は、目標額を大幅に上回り達成した。
李委員長は、建設事業に奔走した建設委員と、事業に携わった多くの同胞活動家、学校関係者、保護者と各地の同胞たち、日本の友人たちの献身的な努力に感謝と敬意をのべ、「新校舎建設はゴールではなく、新たな未来へとステップアップするスタート」だと力を込めながら「『同胞愛、後代愛、未来愛』の精神で、創立75周年を向かえた東京第3初級をより発展させ、輝かせていこう」と呼びかけた。
竣工式では、建設事業に貢献した5地域の担当と、建設業者3団体に感謝状が贈られた。
また、閉会に先立ち、同校6年生による祝賀スピーチで、児童たちからの感謝が贈られた。
同式は当初4月に予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大によりこの日行われた。第2部の祝賀行事は後日に延期し、縮小規模での竣工式となったが、先代たちの意志を継ぎ、学校と地域同胞社会を守ろうと奔走した建設委員含む同胞たちの取り組みが紹介され、終始温かい空気に包まれていた。
-参加者たちのコメント
康哲敏校長
「喜ぶことは後回しにしても、感謝の意を伝えるのはこれ以上先のばしにできないと思ってきたので、竣工式を迎えられて本当によかった。新校舎建設について、同胞や保護者たちからできるかできないかと何万回も聞かれ、何万回も答えてきた。商売を大きく営む人たちがいる地域ではないが、民族教育を守るために、いろんな人があらゆる場所で動き、その結果、成し遂げた事業だと思う」
建設委員会・崔守元副委員長(豊島区代表)
「未来の子どもたちのために何でも新しいものをあげたい、学校に通わせる保護者の信頼を得るような校舎にしたい」との思いで取り組んできた。「過去に在日本朝鮮青年商工会で役員として、各地の朝鮮学校を訪れました。自分たちだけでなく、この取り組みが派生して、日本各地のウリハッキョがより良い環境になってほしい」。
同校の建設事業に携わった丹勢建設株式会社は、1969年、総聯東京・板橋支部の会館建設からの付き合いだという。2代目社長の外勢直樹さんは、自身が社長に就任して以降、40年以上、板橋地域の同胞社会と深く付き合い、朝・日友好親善の集いにも毎年参加しているそうだ。外勢さんは、「歴代の板橋支部委員長、商工会会長、校長先生との長く付き合ってきたので、プライドとしてこの建設事業を他の会社にやらせたくなかった」と微笑む。
会社では常に「イデオロギーの問題ではなく、人間と人間の信頼関係」という理念を据えているそうだ。「本当に厳しいなかで進めてきた事業でした。アップダウンはあったにせよ、『なにがあっても一緒にやっていこう』という歴代のOBがいたから心強かった。1世からお付き合いを始め、今では3世たちとこのような形で付き合っていますが、本当に良い人が多いですね。児童たちのスピーチも、何を話しているのかはわかりませんが、まとまりがあるというか、とても貴重なものだと思っています。長年築いてきたこの信頼関係は、何があっても切れないはず。これからも大事にしていきたいです」と強く語った。
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高い耐震性能を持ち、機能的な学び舎として生まれ変わった同校には、教室のほか、会議室に図書コーナー、面談室や職員室、資料室、保健室と各種倉庫などを備え、また、念願のバスケットボールができる広々とした講堂と、屋上には人工芝運動場と天然芝の、子どもたちが遊べる運動場も完備されている。エレベーターを備えたバリアフリー設計になっており、教育のICT化に対応する最新の無線インターネット設備と大型モニター、電子黒板、タブレットなども設置してあります。すべての施設には冷暖房が完備され、トイレはウォシュレット、また、セキュリティーのための防犯カメラが備わっている。
(文:朴明蘭、写真:崔麗淳、朴明蘭)