10月30日に判決言い渡し―九州無償化裁判控訴審
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朝鮮学校が高校無償化制度から除外されたことにより権利を侵害されたとして、九州朝鮮中高級学校の高級部生徒・卒業生らが2013年12月19日に起こした国家賠償請求訴訟(九州無償化裁判、原告は現在68人)の控訴審判決言い渡しが2日後に迫っている。今日のブログでは、これまでの動きを簡単に振り返りたい。
福岡地裁小倉支部(1審)で判決が下されたのは2019年3月14日だ。直後の記者会見で無償化弁護団は、判決内容は不当だとする声明を発表。
声明では、国側が朝鮮学校を不指定処分にした二つの理由(▼ハ号削除、▼規定13条に適合すると認めるに至らなかったこと)は互いに矛盾すると主張したにもかかわらず、裁判所がその判断を避けたことを指摘しつつ、
-このように、審理の段階において明らかになっていた最も重要な論点について判断を回避したのみならず、朝鮮学校が朝鮮総連から「不当な支配」を受けているかという点について、原告らの検証申立てを却下し学校に赴いて事実を確認することもなく、また「不当な支配」が何を指すかも検討することなく、まして民族教育の歴史的経緯を振り返ることもなく、朝鮮学校が「不当な支配」を受けているとの合理的疑いが払拭できないなど、本件規定13条に適合すると認めるに至らないという文部科学大臣の判断に逸脱濫用がないとした。これは、国の主張をそのまま受け入れるものでしかなく、事実と証拠に基づいて判断を下すべき裁判官の職責を放棄したものに他ならない-
と辛辣に非難した。
現地の同胞、日本市民らはこの3ヵ月後に「3.14を忘れない木曜行動」を開始。毎月第2木曜日に街頭宣伝を重ねてきた。また、同年9月14日には「3.14不当判決糾弾福岡高裁勝利総決起集会」(主催=朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会)を開催。約180人が集い、諦めず闘う決意を固めた。
控訴審が始まったのはその直後の10月2日。第1回口頭弁論では弁護団が控訴理由書を陳述。一審判決の問題点を指摘しながら、判決の根拠として裁判官が羅列した内容が、不当かつ不合理であることを説明した。
その後3回に渡って口頭弁論が行われ、今年7月10日の第4回口頭弁論をもって結審。コロナ禍での実施だったが、報告集会では複数会場をリモートでつなぎ、各地から多くの関心が寄せられた。
無償化弁護団が提出した第4準備書面では、高校無償化法が成立する前から朝鮮高校が不指定処分を受けるまでの客観的な事実経緯を改めて振り返りながら、問題の本質は国による差別政策だったと示した。
控訴審結審から3ヶ月。新型コロナウイルスの感染拡大によって中止されていた「木曜行動」は今月から再開された。また、判決言い渡しを控えて、さらに世論喚起をしようと22日にも「木曜行動」を実施。博多・天神のパルコ前で、学ぶ権利を求めるアピールがなされた。
控訴審の判決言い渡しは、約7年におよぶ九州での裁判闘争の一つの区切りになる。開廷は13時半。当日、福岡高裁の建物裏にある駐車場で12時から傍聴券の抽選が行われる予定だ。原告・関係者たちは、現地に来られなくとも熱い声援を送ってくれるよう呼びかけている。イオ編集部でも取材し、翌日の【イオ ニュース PICK UP】で詳細を伝える。(理)