ふぇみ・ゼミ事務所開設/「ゆる・ふぇみリーディング&コンサート」
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ジェンダーと多様性をつなぐフェミニズム自主ゼミナール「ふぇみ・ゼミ」が、10月1日、東京都北区に事務所を構え、10月28日、同じく北区のカフェバーにて、事務所開きを兼ねた「ゆる・ふぇみリーディング&コンサート〜消えない声を聴く」が行われた。
イベントではまず、ふぇみ・ゼミスタッフの村田佐希子さんが、日本軍性奴隷制度について説明した。村田さんは、1993年に河野洋平内閣官房長官による「河野談話」にて、日本政府が日本軍の関与と強制性を認め反省の意を発表し、同じ過ちを繰り返さないことを表明するも、安倍晋三元首相による「狭義の強制連行はなかった」などの政治家たちによる否定発言や、当事者不在の非民主主義的な日韓「合意」(2015年)の無効化・再交渉を求める韓国政府の提案を拒絶していることに触れながら、日本政府は河野談話の内容と全く異なる態度をとっていると指摘。
また、日本政府が謝罪や補償に応じないなかで、日本を含むアジア各国のサバイバーたちが、性暴力の根絶のために世界各地で運動を行なっていることを挙げ、「#MeTooの先駆けともなるかのじょたちの勇気をこれ以上踏みにじらないよう、かのじょたちの尊厳が一日も早く回復するよう、私たちから問題に目を向けていきましょう」と呼びかけた。
続いて、みょんふぁさんによる絵本『花ばぁば』の朗読が行われた。
みょんふぁさんは劇団そとばこまちを経て、女優、司会、通訳・翻訳業などフリーで活動している。2017年には「第9回小田島雄志・翻訳戯曲賞」受賞。現在も、年間6本の舞台、一人芝居のプロデュースなど活躍している。
みょんふぁさんは、日本軍「慰安婦」の証言をもとに制作された絵本『花ばぁば』を、温かくも表現力たっぷりに読みあげた。この日のためにふぇみ・ゼミスタッフが用意した絵と音楽も相まって、参加者たちは絵本の世界に引き込まれ、目に涙を浮かべる者もいた。
続いて、UGさんと原田上総さんによるコンサートが行われた。
原田さんは、高校時代にギターを始め、橋本信二さん含むあらゆるギタリストに師事。現在は、ジャズ、ブルースを軸に演奏活動をしている。
UGさんは、奴隷とされた黒人の叫びから始まったブルースをベースに、ジャズやR&B、Kpopなど幅広くカバーしてきた在日3世歌手。
「インターセクショナリティ(人種、宗教、国籍、性的指向、階級、障害などあらゆる差別、偏見の交差性)を考える」というふぇみ・ゼミのコンセプトに沿い、1930年代のアメリカの決まりきったカルチャーの枠を打ち破る女性を描いた「The lady is a tramp」や、同じく30年代、リンチにより死亡した黒人男性が木に吊るされた事件から、人種差別を告発する歌となった「Strange fruit」、Kpopの「양화대교(楊花大橋)」、日本の名曲「愛燦燦」など、さまざま視点から、人間を描く曲を披露した。
最後に、ライブ中継で事務所が紹介された。
同イベントのオンライン配信では、日本軍性奴隷制の前説からコンサートの歌詞まで、すべて字幕つきで配信された。誰もが楽しめるようにという、スタッフたちの思いが伝わってくる。
司会を務めた梁聡子さんは、「差別され、抑圧された人々が生きやすく生きていける社会をつくるための活動をこれからも続けていきたい」と思いを語り、イベントを締めくくった。
(蘭)