高校無償化裁判 広島、九州控訴審
広告
日本各地5ヵ所で朝鮮学園や卒業生らが原告となり、朝鮮高校を高校無償化制度の適用対象から除外した国を訴えた裁判のうち、広島で10月16日に、福岡で30日にそれぞれ控訴審の判決が言い渡された。両高裁とも原告側の控訴を棄却し、一審に続いて二審も朝鮮学校側敗訴となった。高校無償化裁判は東京、大阪、愛知ですでに原告側敗訴が確定しており、広島と福岡も最高裁を残すのみとなった。
広島控訴審/
朝鮮学園、卒業生らの訴え届かず
「本件各控訴をいずれも棄却する―」。法廷で判決の要旨を聞く原告らの背中は震えていた。傍聴席には目に涙を浮かべる学校関係者と支援者たち。裁判所前では「不当判決」の旗出しと同時に、判決を非難するシュプレヒコールが飛んだ。
…原告を代表して、同校の女性教員が発言した。「判決を聞いた瞬間、頭がぼーっとして何も考えられなかった。泣いている朝高生たちに何と声をかければいいのかわからなかった。もう十分頑張っている生徒たちに『まだがんばろう』と言わなくてはいけないのか。…最高裁も私たちが望む結果にはならないのかもしれないが、それでも私たちがすべきことは、間違っていることに対して声を上げ続けることだ」。…
九州控訴審/
“この社会を変えなければ”―
「日本政府の方々、裁判官の方々は、私たちの何を知り、朝鮮学校の何を見たというのでしょうか」
「この許されない問題が生じ、10年が経ちます。その間に、希望ある子どもたちの未来がどれほど踏みにじられたでしょう」
「朝鮮人ということだけで、差別と偏見の目でしか見れない、理解しようとしない、そんな恥知らずな日本政府に、私たちから『あたり前』を奪う権利はありません」…
不当判決が下された福岡高等裁判所前では、九州朝鮮中高級学校の朝高生たちが次々に抗議の声を上げた。
「最高裁、社会を動かすために何ができるか。今日ここで聞いた話、感じたことを周りの人に伝え、SNSで発信してください。声を上げていくこと、この空間をどんどん広げていくこと、多くの人を朝鮮学校に連れていくこと、これが社会を変えることだと思います。闘いはまだまだ続きます。でも必ず勝ちます」(後藤富和弁護団長)…
高校無償化裁判きほんのき
Q1 高校無償化制度って何?
A 公立は授業料無償化、私立には就学支援金/外国人学校含むすべての高校生に適用
2010年4月から始まった制度で、正式名称は「公立高等学校の授業料無償化・高等学校等就学支援金制度」。日本の公立高校に通う生徒には「授業料無償化」を適用し、私立高校などの生徒には公立高校の授業料相当分(年間11万8800円)を「就学支援金」として助成する。すべての高校生の「教育を受ける権利」を保障することが目的で、1条校だけでなく専修学校、各種学校の外国人学校にも適用される画期的な制度だった。※制度の内容はスタート時のもの
…
Q4 裁判の結果は?
提訴した5ヵ所のうち、愛知、九州(福岡)、東京では生徒を原告とする国家賠償請求訴訟、大阪では学校法人を原告とする行政訴訟、広島では国賠と行政の複合形式の訴訟が行われた。原告勝訴の判決が出たのは一審の大阪地裁のみ。ほかはすべて原告敗訴の判決が下されている。大阪、東京、愛知ではすでに最高裁で原告敗訴の判決が確定。残る広島と九州が上告中となっている。
以上は一部抜粋になります。全文ご覧になるには本誌をご覧ください。