【学ぶ権利を目指して】幼保無償化、「新たな支援策」求める署名
広告
11月3日に東京・永田町の国会正門前で行われた集会「平和といのちと人権を 11・3 大行動 憲法が生きるコロナ後の社会」で、朝鮮大学校(東京都小平市)の学生が、幼保無償化から外されている朝鮮幼稚園への差別解消を訴えるスピーチを行った。集会には、他にも在日本朝鮮青年同盟員や朝大生ら約30人が参加。外国人学校幼稚園への「新たな支援策」を求める署名を呼びかけ、約1400筆が集まった。
△東京
〝幼い子どもまで攻撃している〟
3000人の前でアピール
△大阪
「運動は第2ステージへ」
幼保無償化テーマに学習会
「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」(無償化連絡会・大阪)が主催するオンライン連続学習会の第2回「『幼保無償化』の差別なき適用に向けた全国的な取り組みについて」が10月20日に行われた。幼保無償化中央対策委員会の任京河さん、幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会代表の宋恵淑さん、大阪府オモニ連絡会代表の金亜紀さんの3名がパネリストとして出演した。
任京河さんは、各種学校認可の外国人学校幼児教育・保育施設が除外されたまま昨年10月に制度が施行されたことを受けて、12月に100万人署名運動がスタート、今年に入って各地で集まった47万筆分の署名を持って関係府省に要請を行ったところまでを運動の第1ステージと規定した。そして、第2ステージは政府与党に対する要請と地方自治体に対する要請だと指摘した。
任さんは、無償化の対象外施設に対して来年4月から救済措置として実施される支援策を準備するための文部科学省の調査事業が地方自治体に委託する形で行われ、一部の地域で外国人学校幼保施設も調査事業の対象となったことに言及。また、対象外施設への支援や対象範囲の拡大を行うよう国に要請した川崎市や、市議会が外国人学校の幼稚園児にも幼保無償化を適用するよう市が国に働きかけることなどを求める請願を採択した宝塚市、伊丹市などの例を挙げて、このような動きが今後、各地で増えていくことに期待を表明した。また、国分寺市や小平市で幼児養育費補助金制度が創設された例を挙げて、「朝鮮学校に通う児童・生徒の保護者家庭がこのような地方自治体による新たな助成制度の対象になれば、今後新たな支援策を受けるうえでも有利になる」とのべた。
続いて発言した宋恵淑さんは、保護者連絡会として、昨年から国会議員や地方自治体の議員に朝鮮幼稚園の実態を見てもらう取り組みを重ねてきたことや、各自治体に調査事業の実施先として手上げするよう働きかけた経験を話した。宋さんは「私たちが予想した以上に多くの自治体が調査事業に手を上げてくれた。調査事業の対象施設の類型の一つに朝鮮幼稚園が選ばれるまでに巻き返すことができたのは、私たちがあきらめずに声を上げ、行動してきたからだ」と運動の成果を強調した。
金亜紀さんは、2016年から国に先駆けて幼児教育の無償化が始まっていた大阪で、朝鮮幼稚園に制度が適用されるよう求めてきた取り組みについて報告した。
今後の運動課題について、任さんは▼100万人署名運動で残りの53万筆を集めて国会に届けること、▼地方自治体に対するさらなる要請、の2点を挙げた。宋さんは、朝鮮幼稚園として国に求めることは、▼来年度からの支援策にすべての朝鮮幼稚園がネットワークとして認められ、すべての園が対象となること、▼国が地方自治体に対して、朝鮮幼稚園が地域や保護者のニーズにかなう幼児教育施設であると認めることだとのべた。
△大阪
冊子「勝利のその日まで」
「火曜日行動」400回記念で出版
「火曜日行動」のユニークさは、参加者の自由なスピーチだが、冊子には府庁前に立った人びとの思いが詩、短歌、随筆、歌などで表現されている。子連れで参加した若い母親の切なさや、日本人支援者の声がけに心温まった青年の思いを含め、参加した誰もが「何か」を感じ、それを糧に歩んできたことがよくわかる。大阪のたくましさが詰まった一冊だ。
問合せ:onnyoho@yahoo.co.jp
△神奈川
外国人学校幼保施設も対象に
神奈川県弁護士会が会長声明
神奈川県弁護士会が、朝鮮幼稚園をはじめとする各種学校認可の外国人学校幼保施設を無償化制度の対象とするよう求める会長声明を10月22日付で発表した。
声明は、国が、外国人学校幼保施設について▼幼児教育を含む個別の教育に関する基準はなく、多種多様な教育を行っていること、▼児童福祉法上、認可外保育施設にも該当しない、という2点を挙げ、「幼児教育の質が制度的に担保された施設」とは言えないとして、幼保無償化制度の適用対象外としたことを批判した。
声明は、「外国人学校幼保施設についてのみ『教育の質』を問うことにはまったく合理性がない」と指摘。「多種多様な教育を行っている」という点については、「そもそも『教育の質』とは無関係であり、むしろ、外国ルーツの子どもたちが出身国の言語や文化に基づく幼児教育・保育を受けられる環境を保障することは国の責務である」とした。