【緊急連載】コロナ禍、どう働く(下)
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「働く」を切り口にコロナ禍が人々の暮らしに与えた影響を探る緊急連載(下)では、派遣社員、契約社員、パートなど期間に定めのある非正規労働者、その中でも女性に目を向けます。労働相談を受ける長尾詩子弁護士、「はたらく女性の全国センター」の佐崎和子さんに、現状と課題について聞きました。
賃金減額、雇い止め、深刻な現実
女性の非正規労働者
長尾詩子弁護士
ステイホームで増える離婚相談
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、この間、私に多く寄せられた相談で深刻だと感じたのは、子育て世代の離婚相談でした。
ステイホームで夫が在宅となり、顔を合わせる機会が多くなって、DVやモラハラ的な暴言を受けることが増えて、「我慢できない」という相談を多く受けました。酷いDV事案では、身体の安全を守るためにとにかく別居することをお勧めしていますが、移動が制限されて、収入も減るなか、別居して「逃げる」ことが困難なケースも少なくありませんでした。
離婚はサインすればできますし、自分ひとりならその後の生活もなんとかなります。しかし、子どもがいる場合、一定の生活費や住居の確保は不可欠です。別居から離婚までの間、夫婦のうちより高額の収入を得ている者が他方に生活費に相当する額を払う「婚姻費用分担請求」という権利はありますが、さほど多額の金額を受け取れるわけではありません(収入により異なりますが、多くは5万円前後。婚姻費用については裁判所のHPで算定表が公開されています)。
女性には、収入の低い非正規労働者が多いので、別居・離婚後の生活を考えると、コロナ禍でこういった女性が別居・離婚することは現実的には非常に厳しいものがありました…。
少しの勇気を持つことから
相談の現場から
佐崎和子さん「はたらく女性の全国センター」運営委員
暴言、無視、いじめ…
「はたらく女性の全国センター」は、働く女性と労働組合の中間的な場として2007年に創立し、その直後から「はたらく女性のホットライン」をフリーダイヤルで始めました。このホットラインは、全国のさまざまな働く女性の問題で活動している団体が、毎月の相談日(5、10、15、20、25、30日の平日は18時~21時、土日祝日は14時~17時)に、交代で電話を受けるというもので、私は、福岡のワーキング・ウィメンズ・ヴォイスという団体のメンバーとして、開始時から毎月電話相談を担当してきました。また、3年前からは行政機関でも労働相談をしており、電話や面談で相談を受けています。
「ホットライン」の2019年1月1日~12月31日の相談件数は286件で、164件(57・6%)が非正規労働者(うち短時間パートが約半数の80件)、相談内容では、「暴言、仕事干し、仕事荷重、無視、いじめその他、その他人間関係」等の「いじめ・嫌がらせ」が、91件(31・8%)で最も多い相談です…。
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