編集部での8ヵ月-脳みその筋トレをしているような日々だった-
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昨日、2020年最後の締切を終えた。
先日、「記者生活どう?」と友人に聞かれて出た言葉は、「脳みそ疲れた」。
今年は、これまでにないくらい頭を使った気がする。いや、使えたかはわからないが、とにかく稼働させた。(笑)
コロナ禍で入社し、すぐ在宅ワークに。大きな同胞行事はあまりなく、例年よりも直接人と会うことは少なかったが、それでも濃い8ヵ月を過ごした。
高校無償化の集会や幼保無償化を求める要請の場、学生支援緊急給付金問題など、朝鮮学校の権利闘争の現場にたくさん足を運び、当事者らの切実な訴え、識者や支援者たちの真っ当な意見をたくさん聞いた。
しっかり記事にしなきゃと思いながらも、自分の頭で咀嚼し、文章にすることにとても時間がかかった。とくにネット上の記事となると締切も早い。その間にも取材が入る。このようにタイトなスケジュールのなかでも、ポイントを押さえて記事にしなくてはいけない。本当にトレーニングだと思いながら臨んでいた。(笑)
また、内容がぎゅっと凝縮されていながらもスマートな文章、その場を想像させるような、表現力豊かな文章、ぬくもりが感じとれる文章…同僚の文章には、日々刺激をうけた。
文章だけでなく、企画を出すのにもものすごく苦戦した。編集部の同僚たちのその視点、切り口、キャッチーなタイトル…いったいどこから沸いてくるんだと、企画会議では毎回脱帽していた。他の部署の先輩、同級生、同期からもたくさん学び、励まされた。
ひょんなことから、また、取材を通して、日本のメディア関係者とも知り合ったのだが、かれらの同胞社会へのまなざしもまたおもしろい。人と出会うことに関しては、いつもタイミングに恵まれているなと思う。
さまざまな在日同胞に会い、考えたこともなかった「在日の思い」も聞くことができた。改めて、自分の見ていた世界があまりに狭かったことを痛感したと同時に、自分がどんな記者になりたいか、どんな雑誌を作っていきたいか―という部分も考えるようになった。
取材現場、食事の場、ふとした時の会話を、電車のなかでも布団のなかでも常に考える癖がついた。
そんなこんなで、とても濃く、充実した8ヵ月間だった。
これから自分が学んでいきたいことが、見えてきた気がする。(蘭)