今年を漢字1字で表すなら
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今年を漢字一字で表すなら「霧」。
新型コロナウイルスの感染が広がるなか、2月末に休校が決まり、卒業前の残り少ない日々を奪われ、落胆する子どもたちの姿が今も目に焼き付いています。それまでの「あたりまえの日常」が奪われ、霧の中を歩くようなwithコロナ生活が始まりました。
人に会って話を聞き、現場を歩いて発信するのが記者の仕事なのにも、予定されていたイベントが続々と中止になり、とくに高齢者との接触が難しくなりました。
どんなことがあっても80ページの雑誌を出すんだ、生活のためになる情報を、元気が出る雑誌を、という思いで誌面を作ってきましたが、振り返ると想像力や判断を誤った場面もありました。
何よりこの非常時で人々の不安を和らげるような記事をどれだけ作られただろうかー。
先を見通し、時代を読むまでの視点は絞り切れませんでした。来年に向けた課題です。
それでも、新しい出会いに多くを感じた1年でした。
私自身、子どもの成長とともに、地方出張に少しずつ出かけるようになりましたが、その都度訪れた出会いが、普通のことだと感じられなかったのは、会うことが難しくなったコロナ禍だったからでしょうか。
地域を支えるプネジャン(分会長)、影響自粛を強いられたパチンコ店や、飲食業に関わる方々、地方の2世、3世、4世たち、映画や文化を世に送り出す人たち…。また、私たちの取材を実現させるために尽力する方々の存在に、人や社会を描く自身の役割を今まで以上に考えた気がします。
仕事の方法、編集部内のコミュニケーションについても再考を求められました。
イオ編集部の6人の編集スタッフの中には、自宅から職場まで往復4時間かかる部員や、幼児を抱える人たちもいて、リモートワークを取り入れながら、チーム力をどう発揮するのか、という新しい課題にも直面しました。
今この瞬間も、コロナ感染は収まりを見せていません。
2020年のコロナ禍のなかで、学生緊急支援給付金や幼保無償化から朝鮮学校が外されるという新たな問題にも直面しました。日本国に納税し、住民として生きる私たちに向けられる「新たな差別」と闘いつつ、どのように学びの場を維持していくか、という問題に直面した日々でもありました。
それでも、第100回全国高等学校ラグビー大会に大阪朝鮮中高級学校高級部ラグビー部が圧倒的な実力で出場を決めたこと(今日が初戦!)、
イベント収入が減る朝鮮学校に日本市民や同胞たちの温かい支援が集まったことなど、この状況下で手にした大切なものをしっかり記憶したいと思います。
2020年、イオ編集部にご協力くださった日本全国の同胞や日本市民の皆様、
朝鮮半島の友人たち、
世界各地に暮らすコリアンの皆様。
本誌へのご協力、本当にありがとうございました。
ブログの更新は、今日で終わり、来年1月5日から再開されます。
今年の年末年始は、いつものように家族が自由に会うことは叶いませんが、どうぞ穏やかで幸せな日々を送られるよう、編集部一同、祈っております。
좋은 한해 되시기 바랍니다(よいお年をお過ごしください)!(瑛)
※写真は11月に訪れた広島尾道の風景